来店ご予約

眼石祝応のBLOG

技術と知識と志。

2016/10/14

皆さん、今晩は。今日は遠近両用レンズについて僕の考えをお話しさせてください。

 

うちのお店は創業してから11年、グラシアスのお客様の年齢層は、ボリュームゾーンで30代~50代、

でもお蔭様で幅広い年代に支えられています。またボリュームゾーンのお子さん世代も実は確実に増えています。

そんな幅広い年齢層の眼をみさせて頂いていると11年前に比して隔世の感があるのが、遠近両用レンズに対しての

考え方です。実は日本のマーケットでは思った程に遠近両用レンズは普及しておらず、その原因は様々ですが、

大きく分けて三つあります。それは遠近両用レンズの草創期、まだ遠近両用レンズの作成ノウハウが習得出来て

いない眼科や眼鏡店が手探りでそのレンズを勧め、販売してみましたが、その時期に作った方々が、

 

「遠近?あんなのダメよ、歩くの怖くて、私も駅の階段から転げ落ちて大変な思いをしたわよ。」

 

と眼鏡との付き合いの長い上級者程に、一度試してダメだった遠近の悪評を風評被害のように拡散しています。

 

これが一つ目、

 

もう一つは日本のマーケットの主流でもある、量販店、こちらでは極力教育に時間を掛けずに一本の眼鏡を

仕立てられるように人材を育てます。それこそ雑貨の様に包んでお仕舞いの商売を究極の目標にするようです。

 

そしてこういった量販店でも遠近両用は販売しています。ですが、遠近両用レンズを入れたメガネを仕立てる

という事は、多くのステップを経て、一人前の眼鏡に仕立てる事が可能になるのです。

 

でもその手順で手間を省いていたら?それはまともなメガネに仕上がらないことを意味しています。

つまり過去の亡霊の様な風評が遠近にダメ出ししているだけでなく、

この今、遠近両用レンズを作ってがっかりしている人が文字通り量産されています。

 

偏向レンズの一流メーカーTALEX(タレックス)が販路を限定してしっかりとした

技術だけを持ったお店にしか卸さないプロショップ制度を確立しました。

 

僕は遠近両用もこうして販路をしぼって、「技術と知識と志のあるお店」に限定して卸すべきだと思います。

そうしなければ、悪い噂を量産されることもなく、確実に口コミの連鎖が始まります。

 

ただ資本主義の社会ではそんな事は許されません、だって数をさばかなきゃ、社員のおまんまが…。

となってしまうのです。これは致し方ありませんね。急激な改革には相応の痛みが伴ってしまいます。

 

ある日突然大手のレンズメーカーが量販店にレンズを卸さなくなってしまってはレンズメーカーの

売り上げは激減するのです。ただこういったハードランディングではなく、ソフトランディングの

シナリオもきっとあるのではと思います。それは皆で知恵をだせばよいと思うのです。

 

そして三つ目。

 

これは眼科の処方箋です。僕は以前書いていた次論公論というblogでも眼科の処方箋批判を繰り返して

来ました。一部の志の高い眼科を除いて、多くの眼科は屈折矯正検査に精通していないばかりか、

最新の遠近両用のレンズに関しても不勉強で、僕の様な若造がみても

 

「あかん、こりゃ駄目だ。」

 

と言いたくなる程のレベルの処方箋が頻発しています。この原因を書いていると一日分の記事になって

しまうので割愛しますが、何しろこれは診療点数の配分に問題があり、ひいては、医療行政の在り方に

問題があると、やたらめったらに大きな話になります。要は眼科を責めても仕方がないという事を

僕は言っています。

 

何しろ眼科の処方箋の傾向としては高加入度と言って老眼の矯正度数が強いケースが

多いという事は言えると思います。レンズメーカーのセミナーにいけば、様々なやり方で低加入度に

導く方法をメーカーはレクチャーしています。ですが、眼科医の多くにその思いは届いていないようです。

高加入度の遠近両用は本来何年も掛け続けてきた人が辿り着く頂きなのですが、それを初心者に

ぶつければ、それは慣れようがないってものです。

 

この様に三つの要因が複雑に絡み合い、遠近両用の普及を阻害しています。

 

僕自身遠近両用は使っていますが、これ程に快適なレンズは無いと思っています。

ただし、それは正しく調理(検査/加工/フィッティング)

出来た時に美味しく召し上がれるという条件付きですが…。

 

どうか皆さまにも正しく、そして誠意をもって調理できる眼鏡士と出会えることをお祈り申し上げます。

 

繰り返しになりますが、少なくとも遠近に限らず、眼鏡を正しく仕立てる為には

豊富な経験に基づく知識と、研鑽された技術、そしてそれらを貪欲に習得したいと

思える高い志が必要な様です。

 

DSC07128

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
opteria Glassias
https://opteria-glassias.jp/
住所:〒180-0004 東京都武蔵野市
吉祥寺本町1-11-21せのおビル1F
TEL:0422-21-6755
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。