近視、左右の度数差がある目
2020/10/25
本日のblogの難易度【★★★★★】
今朝の体重は75.4キロ。
お!少し減った。
今朝のYouTubeチャンネル登録者数は340人。
ふむ、停滞期なり。
さて今日のご相談は
30代後半で、事務作業が一日PCで5hくらい。
主訴としては、
①最近眼精疲労が強くなった。酷くなると頭痛がする。
痛むのは頭なのか、目の後ろの辺りなのか良く分からない。
っと眼精疲労、痛みがご相談のメインになっていました。
眼科に掛かったけど、コンタクトにしないと
改善しないという診断、ご本人はコンタクトは使いたくないという
考えで困っていました。
早速視力測定を今までの度数で見てみます。
旧度 | R | -5.77 | -0.03 | 0 | 29.50 | 0.50 | 0.60 | |
L | -2.52 | -0.02 | 0 | 29.50 | 0.40 |
左右の度数差が強いと一目で分かります。
この状態を不同視と言います。
以前のblogから不同視に関して何度書いたのでしょう?
それくらい大切な事です。
読者の皆様に一番お伝えしたいのは、
不同視=不等像視ではない。
この一点に集約されます。
不等像視とは何でしょう?
不等像視とは、左右の目で捉えた像のサイズに
左右差があると知覚する状態です。
この不等像視が酷くなれば、それは両眼視を阻害します。
従って、場合によっては不等像視を矯正する
アニサイクルレンズが必要になる場合があります。
では不同視の定義とは?
不同視の定義は僕の知る限り複数ありました。
ここでは業界で一番使われる事の多い定義をご紹介します。
不同視=左右の度数差が±2.00D以上
と定義されることが多いのです。
従って今回の事例は不同視であると言って良いでしょう。
では今までのメガネでは0.6しか視力が出ていませんが、
これが問題だったのでしょうか?
これは推論の域を出ませんが、
僕はそうとは思えません。
実際に僕が何をしたのかをご覧になってみてください。
先ずはレフケラ値から
屈折 | SPH | CYL | AX | ADD | PD | 片眼視力 | 両眼視力 | |
他覚 | R | -6.50 | -0.50 | 4 | 32.00 | 0.03 | 0.20 | |
L | -3.25 | -0.50 | 107 | 32.00 | 0.05 | |||
角膜乱視 | R | -0.75 | 179 | 色覚特性 | 8 9 | |||
L | -0.75 | 171 | 5 2 |
結構な不同視で、今の眼鏡は視力を出さずに焦点距離を近くに合わせていると言えそうです。
では検査結果ですが、それは以下の通りです。
両眼解放 | R | -6.75 | -0.50 | 5 | 64.0 | 1.5 | ||
L | -3.25 | -0.50 | 105 |
続いて作成レンズです。
処方値 | R | -5.50 | -0.50 | 5 | 0.7 | |||
L | -1.75 | -0.50 | 105 |
この様に度数をぐんと下げています。
旧度と比較してみましょう。
旧度 | R | -5.77 | -0.03 | 0 | 29.50 | 0.50 | 0.60 | |
L | -2.52 | -0.02 | 0 | 29.50 | 0.40 |
右の近視を一段階下げて、乱視を二段階追加しています。
左の近視を三段階さげて、乱視を二段階追加しています。
この様に左右の度数差を僕は広げる選択をしました。
左右の度数差を広げるという事は像倍率の差を拡大させる要因です。
ですからこの場合には、度数差を縮めるように調整する眼鏡士もいますが、
それではピントの調節バランスがずれてしまうのです。
調節バランスという言葉が出たので解説すると
今回は手元が快適なメガネという形でご要望を頂きましたので、
調節バランスを考慮する際に調節効果という点を考慮すべきなのですが、
それを考慮して僕は左目の近視を右目に比較して一段階弱めに調整しています。
ではその調節効果とは?と解説が必要ですね。
調節効果とは、近視の場合であれば強度数になればなるほどに
ピントを助ける効果が発生し、手元を楽に見させます。
今回は左右の度数差が大きい為にその調節効果が近視一段階分発生したので、
右目はそのまま、左目は一段階近視を弱くしたのです。
本来であれば、以下の度数で作成するべきところを変えたのです。
暫定度数 | R | -5.50 | -0.50 | 5 | 0.7 | |||
L | -2.00 | -0.50 | 105 |
ではどの程度の調節効果が発生していたのか?それは以下の通りです。
調節効果 | -0.39 |
-0.15 |
39-15=24
0.25が一段階ですからほぼほぼその分右目の方が調節を助けているのです。
この様に不同視の目に対して手元用を作成する場合には
ひと手間掛けて、調節効果を考慮する必要があるようです。
では、今回の事例はアニサイクルレンズが必要だったのでしょうか?
いえ、結果的に不等像視は発生していませんでしたので、
通常のレンズで作成する事にしました。
今回はHOYAのキャリアカラーというPC用のカラーレンズで
眩しさ対策も施し万全にしたつもりです。
え?プリズムは?
勿論組み込み発注します。
右目にベースイン1.00△(プリズム)
左目にベースイン2.00△
つまり僕が今回のお客様に施した対策は、
①左右の調整バランスを整えた。
②カラーレンズで眩しさ対策を施した。
③プリズムレンズで固視ずれ矯正をし、寄り眼の筋肉をサポートした。
以上三点セットで提案しました。
今日検査したばかりでお渡し出来ていないのですが、
これで多少でも改善してくれるよう祈るばかりです。
このご報告がどこかのお店の
どなたかのお役に立ちますように。
それではまたこのblogでお会いしましょう。