遠近と中近の使い分け

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眼石祝応のBLOG

遠近と中近の使い分け

2021/11/20

本日のblogの難易度【★★★★★】

今朝の体重は77.5キロ。

今朝のYouTubeチャンネル登録者数は806人。

 

さて地道に積み重ねるしか能のない僕です。

最近はYouTubeにTwitter、そしてこのblogと

情報発信を継続しています。少しでも気を抜いたら、

あっという間にいないことになってしまうのが、この世界。

油断大敵、毛がぼ~ぼ~でござる。

 

さて先日いらした方は、白内障の為、人工の眼内レンズに

入れ替え、ピントの調節能力がなくなった状態でご来店頂く方でした。

保険適用外であれば、マルチフォーカスな眼内レンズもありますが、

今普及しているのはシングルフォーカスの眼内レンズなので、

遠くにピントを合わせれば、当然ですが、近くはそのままでは見えません。

 

誤解のないように言えば、たとえ手術をしなくても、

そもそもが66歳というご年齢を考慮すればピントの調節能力は

皆無ではないにしても、ミニマムだったと予想します。

 

ですからピントの調節能力が

ある日突然無くなったという訳では決してありません。

 

今回はそんな白内障手術後の方の目を見た時のお話です。

僕は、メガネ屋の立場では申し上げにくいのですが、

そもそも白内障の為に眼内レンズを入れる場合には

遠くにピントを合わせず、近くにピントを合わせ、

遠くを見たい時には眼鏡、な暮らしを推奨しています。

 

具体的に言えば、S-2.00くらいで裸眼視力は0.1くらいかな?

それくらいにしておくと裸眼で近くは大概の物は見えますから、

お手元は裸眼、遠くを見たい時にはS-1.00くらいの眼鏡をすれば、

0.8くらいの視力が出ると予想しますから、これに+2.00の遠近両用レンズを

使えば、近くもより快適でしょう。

 

例~ S-1.00 ADD+2.00

 

遠くがS-2.00に設定された状態でS-1.00を遠くの度数に設定すれば、

この時点で加入度+1.00、それからレンズの下部に行くにしたがい、

度数は+2.00の変化量になりますから、元々の+1.00と足して+3.00の

老眼鏡を掛けた効果が期待できるのです。

 

そもそもが単焦点レンズの眼内レンズを入れた時点で

近くをサポートする眼鏡が必要になるので、そうなのであれば、

あらかじめ眼鏡を掛ける想定が必要だと思った次第です。

 

ところが、先日いらした方は、裸眼視力は1.2で

矯正視力も1.2、ほぼほぼ遠くにあった状態でご来店頂きました。

 

これだと裸眼で遠くが見えますが、

結局この場合にも遠近両用レンズの

出番は必要になります。

 

そして今回はその遠近両用レンズを二つ作られたのですが、

 

一つは遠く重視の遠近両用レンズ

 

もう一つは

 

近く重視の中近両用レンズで作られました。

 

それがどんな度数の変化があるのか、図で解説しないと

伝える自信がないので図にしますね。

 

 

 

この上図の左がFlildで遠近両用レンズ

右がCityで中近両用レンズ、厳密にいうと

以前からある中近両用レンズはRoomという設計なのですが、

このCityは遠近両用レンズと中近両用レンズの中間的な性格のレンズです。

 

Flildは遠くの視界メインでたまに手元という使い方。

Cityはあわよくば近場くらいは運転したいが、近くを長時間使いたい。

Roomは、室内限定で、手元中心の生活をする方向けのレンズですね。

 

いずれにしても、レンズの上部がより遠くにピントが合い、

レンズの下部に行くにつれて度数は手元に合うように調整されています。

 

例えば真正面にある窓の外はFlildは快適、でもCityでは視力は低下して見えます。

でもレンズの上部で見る時計はどちらも快適に使えるのです。

 

つまりCityは遠方の快適な視界が得られるエリアが

レンズ上部の一部に限定されていますし、

Flildはその快適なエリアがほぼほぼ真正面まで

保持されていると理解してください。

 

そしてFlildとCityとRoomは、

想定される使用状況によって

設計と度をチョイスするのです。

 

今回作った度数は以下の通りです。

【HOYA Flildで作った度数】

屈折   SPH CYL AX ADD PD 片眼視力 両眼視力
処方値 R 1.00 -0.75 15 2.00   1.2 1.2
L 1.50 -1.25 40 2.00   1.2

【HOYA Cityで作った度数】

処方値 R 1.00 -0.75 15 3.00   1.2 1.2
L 1.50 -1.25 40 3.00   1.2

 何が違うかわかりますか?赤字の部分のADD(加入度)を変えています。

これによりより奥行のある視界が作れます。

では遠近両用レンズの加入度を+2.00にとどめた理由は何でしょう?

それは快適に使える視界の確保です。

 

運転時に求められる視界は

横方向に広く、これが原則です。

加入度を強めると横方向の視界が狭くなりますから。

 

今回Flildでは手元はナビとたまにスマホくらいな調整していますし、

Cityではノートパソコンを長時間作業しても耐えられるように

度数調整しているのです。

 

今回は難しかったですか?

でもこれから老眼を迎える世代にとっては、

大切な情報です。そして適切な老眼対策をすれば、

それ程恐れることもないというのが僕の経験上も言えます。

 

僕は30代の時よりも、頭痛もほぼほぼ皆無になりましたし、

快適なパソコンの使用状況が得られています。

それは今日ご紹介したように、

 

適宜、遠近両用レンズと中近両用レンズを切り替えて

使っているからです。皆様もどうかお願いです。

全ての作業を一本で賄うことは、ご高齢になれば

ある意味諦めて欲しいと思います。

 

その代わりに二本を外出用と室内用で

作って頂ければ、充分に今のスペックのレンズは

快適な視生活を約束してくれます。

 

それではまたこのblogでお会いしましょう。

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