目を下に下げられない人

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眼石祝応のBLOG

目を下に下げられない人

2022/01/06

本日のblogの難易度【★★★★★】

今朝の体重は78.0キロ。

今朝のYouTubeチャンネル登録者数は859人。

 

昨日は、東久留米カントリークラブでシミュレーションゴルフ。

シミュレーションとはいえ、弾道の再現性は相当高く、僕の腕前を

かなり正確に反映してくれます。お蔭様で冬の寒い中のゴルフをせずとも、

春のゴルフシーズン開幕を迎えられそうです。

 

さてシミュレーションでいくらトラブルを想定していても、

想定外の動きを見せるのがゴルフでしたが、

 

一昨日見させていただいた方の目も僕にしてみれば想定外でした。

それはどんな状態かと言えば、

 

目を下に向けて本を読むと字がちらつく。

 

っという主訴でした。

 

早速裸眼視力やレフケラ値から見ていきましょう。

屈折   SPH CYL AX ADD PD 片眼視力 両眼視力
他覚 R -4.00 -1.50 7   30.50 0.02 0.05
L -4.75 -1.25 11   30.50 0.02
R瞳孔径 7㍉ 角膜乱視 -1.25 7 夜間矯正視力 BE1.2 夜間近視 追加加算
L瞳孔径 7㍉ -1.50 16 R1.0 L1.2 変化無

裸眼視力は想定内、乱視が強いかな?という程度、

ここ最近は瞳孔径と夜間視力と夜間近視の量を測定していますが、

それも大きな異常と思える測定値は観測されませんでした。

 

ご年齢は34歳、

 

読みたい物は何しろ小さな文字、ルビのような小さい文字が

延々と続いている書物を見て勉強したいというご要望です。

 

水平方向には多少の斜位はありますが、

寄り目もできていますし、寄り目自体は問題なさそうです。

 

勿論ベースインプリズムは入れました。

 

これで随分ましになったと言われました。

それでも充分ではないと感じたそうです。

 

そこでお客様自ら提案されたのは、

 

ベースダウンプリズムを両目に入れたら更に改善するのでは?

っという提案でした。

 

何故ベースダウンを両目に入れたら効果があるとこのお方は考えたのでしょう?

そもそも目線を下に下げる事が苦手だとこのお方はご自身で分析したのです。

 

下に眼を向けられない、若しくは下に眼を向けたまま長時間維持できない。

更に言えば、下に向けた状態で自由に両目をコントロール出来ない。

 

この三つの可能性がありますし、この三つが複合的に絡み合っている可能性もあります。

 

そもそも論から入れば、

三対一の法則があります。

 

人はそもそも

 

下に眼を向ける方が上に向けているときよりリラックスするし、

上目使いの方が疲れると言われています。

 

下に眼を向ける事を下方回旋といい、

 

上に眼を向ける事を上方回旋といいます。

 

人は下方回旋の方が得意な人が圧倒的多数だと理解してください。

 

そしてその筋肉量のバランスを

 

下方回旋(3)対上方回旋(1)

 

が平均値なので、僕は三対一の法則として考えています。

 

ただし、ご高齢のお方であれば、

この得意な筈の下方回旋がだんだん苦しくなってきます。

ですから、遠近両用レンズで下に向かって目を下げてくださいと言われても、

下に下げられない高齢者の方は、よくよくお見掛けします。

 

余談ですが、遠近両用レンズには累進帯という度数変化領域があり、

上が遠く、下が近くにピントが合うように度数設定されています。

そしてこの累進帯の長さを累進帯長と言います。

 

この累進帯長は高齢になるにつれて短い累進帯を好む傾向にあります。

そして、更に目が下に向けられないという場合に、最後の手段で

ベースダウンプリズムを入れて、下方回旋を助けるというやり方が無い訳ではありません。

 

ただし、今回は、30代で、まだ老眼にもなっていません。

 

それなのにどうして?って思いましたが、

よくよくお聞きしてみると

20歳くらいから手元を見た時にちらついていたと感じていたそうです。

 

つまりこの方の下方回旋下手は、20歳くらいから顕在化し、

そもそもが生まれつき下方回旋が苦手だったのかもしれません。

 

一点、補足説明が必要で、今回は単焦点レンズで手元にフォーカスさせた眼鏡で

常用させる訳ではないので、ベースダウンプリズムを

両目に入れる事による弊害はそれ程考慮しなくてよいのですが、

 

遠近両用レンズでこれを入れると

遠くにある像の位置も上に見えますから、

強い違和感を伴う可能性があります。

 

ただし、こういった処方が他にも過去にないのかと言われれば、

ヨークトプリズムという考え方であり得ます。

 

ヨークトプリズムとは、

 

右目にインのプリズム、

左目にアウトのプリズム、

 

この様にインアウトに入れたり、

今回の様にベースダウンプリズムやアップのプリズムを

両目に入れるやり方です。

 

本来インとアウトに入れれば相殺されて効果無とされますが、

これが効果がある場合があるので

目の不思議をこういう時には強く感じます。

 

ダウンやアップをおなじ方向に両目に入れると

目に見えて姿勢が改善する事があります。

 

今回は姿勢を改善する訳でもなく、

ただただ目を下に向けられない状態を

改善することが主目的です。

 

では実際に僕がイラレでパパっと書いた図でご説明しますね。

上図の様に目線を下に向けた時に、

眼前にベースダウンプリズムのレンズを動くと

実線の様に動きます。

 

ですから点線の時の下方回旋量で実線まで

目線が下に向きます。

 

この分、下方回旋が楽に出来るだけでなく、

実際に固視ずれも生じていましたが、

固視ずれも改善しました。

 

つまりこの人はベースダウンプリズムを

固視ずれ矯正が主目的で入れたという事になります。

処方値 R -1.75 -1.50 7  BI2.50△  DW1.50   0.15
L -2.00 -1.50 11  BI2.50△  DW1.50  

実際に作ったメガネの度数はこの様な度数になりました。

ではベースダウンプリズムが有効だとどうやってチェックしたのでしょう?

 

それは真正面を見ているときに

 

①眼前に目標とする視物をおいて、

そこにプリズムをベースダウンで入れます。

②その状態で見え方が改善しますか?と問います。

③今回は変わらないと答えました。

④今度は下方回旋した状態で眼前にベースダウンプリズムを入れてみます。

⑤その状態で見え方が改善しますか?と問います。

⑥今回は何回やっても良く見えると答えられたので

両目にベースダウンプリズムを入れる事に決定しました。

 

眼鏡が皆様の暮らしを下支え出来る。これを僕は強く信じていますが、

 

こういった事例を目の当たりにすると、その思いはより一層強まります。

 

どうか皆様にこういった情報が届き、

もっともっと快適な眼鏡ライフが送れる社会になりますよう、

新年早々祈念するのです。

 

それではまたこのblogでお会いしましょう。

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