強度近視が進行すると、単に視力が低下するだけでなく、眼の内部構造に影響を与えるため、さまざまな合併症を引き起こすリスクがあります。視力矯正では解決できない健康面での問題が生じることもあるため、定期的な眼科受診が必要です。
主な合併症として次のようなものがあります。
1 視神経への影響
眼球が長くなることで網膜が引き伸ばされ、視神経乳頭の変形や萎縮が進行する場合があります。これにより、視野が欠けるなどの症状が出やすくなります。
2 網膜剥離
網膜が引き伸ばされて薄くなりやすく、ちょっとした衝撃や加齢でも裂けたり、剥がれたりするリスクが高まります。網膜剥離は放置すると失明の危険があるため、強度近視の人は特に注意が必要です。
3 緑内障
日本人に多い「正常眼圧緑内障」は、強度近視の方にも多く見られます。視神経への慢性的な圧迫により、視野が徐々に狭くなっていきます。早期発見が難しく、定期検査が重要です。
4 黄斑部の変性(近視性黄斑変性)
強度近視が原因で、黄斑部が変形・変性して視力の中心が歪んだり、色がわかりにくくなったりすることがあります。特に40代以降に発症リスクが高まります。
5 白内障の早期進行
通常より早い段階で水晶体が濁る「若年性白内障」が起きやすく、生活の質を低下させます。
これらの疾患は一度発症すると治療に長期間を要し、場合によっては視力の回復が困難になることもあります。強度近視を抱えている方は、「視力を矯正すればいい」ではなく、「将来の眼の健康を守るための行動」が必要です。
生活面への影響としては、以下のような場面で支障をきたすことがあります。
- 夜間の運転や暗所での作業時の視野不良
- レンズが厚く重いため、メガネをかけた際の不快感や頭痛
- 目が小さく見えることによる外見へのコンプレックス
- フレーム選びの制限によるおしゃれの悩み
- 日常的な眼精疲労や肩こり
このように、強度近視は眼科的な病気のリスクだけでなく、心理面・生活面にも大きな影響を与えます。継続的なケアと正しい知識をもとに、視生活を整えていくことが大切です。