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眼石祝応のBLOG

グローバルとガラパゴス、どちらがまとも?

2016/10/09

僕はお店を開業してもうすぐ12年、SILMOというパリの展示会に行きだしてから6~7年。

そして国内の展示会を春、秋と一回ずつ経験してきたのですが、そこで思う事がありました。

 

きっかけは友達からの一言でした。

 

「今日本のマーケットだけ異質です。他は天地が高く(フレームのレンズ部の立てのサイズの事です。)

てクラッシックばかりなのに、未だに日本では天地の浅いフレームも根強く支持されています。

これはヨーロッパは勿論、アジアでも香港、韓国、台湾、そのどちらでもサイズ感の違いはあっても皆、

売れ筋はクラッシック、というのか世界の流行です。そうしてみると日本は不思議ですね。」

 

と仰っていました。僕は、そんなもんかな~?どんな時代でも例えば、

丸眼鏡はいつの時代も丸眼鏡しか掛けないなんて方はいらして、

そして動きは遅くとも確実にそのニーズは存在するものなのですが、

今では以前はニッチだった丸眼鏡が実際にお店でもよく動いています。

 

でもそんな時代でも天地が浅いとか、ミニマムなデザインとか、

そんなニーズは例え少数派だったとしても必ずいらっしゃる筈なのです。

 

ただ、僕が先日いったパリのお店は違いました。お店の平台、そして壁面のガラス棚、

その全てがウエリントン、ボストン、ラウンド(丸眼鏡)で占められているのです。

例えば、オーバルや横長のスクエアは皆無に等しい状態でした。

僕は30店舗程回ったのですが、皆さん口を揃えて言います。

今パリに限らずヨーロッパでは天地の高いクラッシックしか動かないのよ。

 

と言うのです。眼鏡がファッションアイテム化した事で流行が生ずるのは仕方ないというか、

当たり前だとしても、それしか置かないという小売店はいかがな物か?

と僕は自分も勿論小売店をやっている立場としては、大きな驚きを禁じ得ませんでした。

 

何か、その品ぞろえの裏に恐怖というか、そんな物まで透けて見えるようです。

つまり、動く品以外は冒険したくない、いやしたくとも出来ない。

 

ファッションの世界では不景気になると黒のスーツとコートが流行するそうです。

それは黒という色が着回しが楽で、色々な洋服と合わせやすい、裏を返せばTPOに

応じたファッションを楽しむ余力がない時に取り合えず黒を買っておく。

 

そういった消費者心理だそうです。

 

何かそれと似た雰囲気を僕が回ったパリのお店から感じました。

 

ですが先日10/3~10/5渋谷で開催された展示会そこでは違った傾向が見てとれました、

僕はそこで新作を携え出展してきました。お蔭様で国内のマーケットでは順調に推移しておりますが、

僕のコレクションの半数は日本向け、半数はヨーロッパ向けというか、

日本以外の国向けにデザインしていましたが、

 

当たり前のように、そのどちらもご注文頂きました。そしてこんな事を言う方も

いらっしゃいました。

 

「最近どこのbrandもクラッシックばかりで、買うのも売るのも飽きてきた。」

 

だからレチルドのコレクションには意義がある。こんなお言葉を頂いたのです。

勿論、売れ筋がクラッシックであるのは先ほど述べたようにファッションアイテムでもあるのですから、

仕方がありません。でも、天地の高いクラッシックって、実は誰にでも似合うフレームではない

事もこれまた事実なんです。

 

例えば黒セルのウエリントンやボストン、これは芸能人の多くがプライベート用で使用している

ケースを雑誌等で数多くお見掛けしますが、あれは、芸能人が外でオーラを消す為に

使っていると僕は思っています。つまりタレントさんのように華のある方が、それを多少

野暮ったくして目立たない方向にイメージをコントロールしていると僕は思っています。

 

更に言えば、美男美女は何掛けたって似合うってもんです。

 

でも僕を含めた一般ピープルがそれを掛けるとどうなるでしょう?

最悪のケースは真面目を通り越して生真面目な堅物になります。

具体例を挙げればのび太君になるのです。

 

せっかく高いお金を出して自分のイメージを悪くして、なんか損してない?

 

って思うのは僕だけでしょうか?一方、ヨーロッパのマーケットでは掘りの深く目鼻立ちの整った方が

多いのでクラッシックが流行るのはまだ分かります。

 

それが韓国、香港、台湾まで、そうなるとアジアはのび太君一直線になるのです。

眼鏡をファッションアイテムとして考えると、まずファッションとは僕は多様性にある気がします。

思い思いの好みで服や靴や髪型、そしてメガネをチョイスしてそのスタイルに合わせる。

 

ドレスアップもあればダウンもあるのがファッションの世界です。今のクラッシックのフレームは

野暮ったく見せるという意味ではダウンに位置するケースが多いでしょう。では眼鏡でお顔を

綺麗に見せるという時に、その品ぞろえが無い、という現実は消費者にとってはどうなのでしょう?

 

まだアジアの新興国が欧米の流行に乗っかって、一つのアイテムに流行が集中するのは

以前の日本もそうでしたからわかります。でも成熟した欧米諸国まで流行一辺倒

という現状に異様さを感じたのです。

 

僕は、今の世界のマーケットを見たり、話を聞いたりして売れなきゃ商品じゃないという

状態よりも、ガラパゴスと言われようとも多様性が存在する日本のマーケットの方が健全な気がするのは

今まで説明してきた経緯によるのです。日本の眼鏡業界には流行に逆らってでも、お客様の「似合う」を

追及する骨のある方々がまだ沢山いらっしゃると勇気を頂けたのです。

 

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