斜視になった時の優先順位
2021/07/17
先日出演したラジオの内容がWEB記事になりました。
ご視聴頂けなかった方は、是非是非ご覧ください。
本日のblogの難易度【★★★】
今朝の体重は76.9キロ。完璧に体重計は壊れている様です。😢
5キロ増えたり減ったりを繰り返します。
今朝のYouTubeチャンネル登録者数637人。
最近停滞期だったので、また一人でも増えて嬉しいです!!
さて弊店は、斜視のご相談の方が多いのですが、昨日いらした内斜位の方は、
少し難しい状態でした。右目が内側に入ってロックされた様です。
左目を隠して、片目で目を内側から外に向けようとしても、
中心までも戻りません。何でも41歳の時にある日突然、
目の疲れを自覚し、その後眼がどんどん内側に入っていったと仰っています。
事実だけ申し上げると外斜視の矯正よりも内斜視の矯正の方が
難易度が高く、成功率は低いと言えます。
そして即効性があるのも外斜視、内斜視は両目を使えるようになるまで
しばらく時間が掛かる事が多いのです。
因みに今まではどんな眼鏡を使っていたのでしょう?
旧度 | R | -0.02 | -0.03 | 0 | 2.56 | 0.02 | 0.70 | |
L | 1.12 | -0.85 | 175 | 2.30 | 25.00 | 0.60 |
こんな度数で右目は視力測定が出来なかったのでしょうか?
遠視矯正の度が入っていなく、遠近両用とプリズムがベースアウトで5.00△(プリズム)
組み込まれていました。実際に測定しても、斜視角の測定そのものが難解なケースでした。
ただしそれでも右目が遠視がこれくらいあるなんて事は、
レチノスコープという器具で測定出来たので、それを元にした完全矯正値は以下の通りでした。
両眼解放 | R | 2.00 | 58.0 | 0.0 | 0.9 | |||
L | 2.50 | -1.00 | 180 | 0.9 |
これにプリズムをベースアウトで10△いれて作りますが、
更にひと手間加えました。
右目が段々開くように若しもなった場合、遠視は更に強度化すると予想し、
右目の遠視度数を
+2.00⇒+3.00に変えて発注しました。
レンズは東海光学のレゾナスRの1.76という
屈折率のレンズにしてギリギリでした。
フレームは斜視矯正の定番ですね。
コンセプトY、これでそれ程厚みも目立たずしかも、
重たくもない、メガネが出来上がるでしょう。
今回の眼鏡では、右目の緊張、ロックが解除されることを
狙っています。ただし、それはスイッチのオン、オフの様には
いかず、じんわりと効いてくると予想しています。
若しかしたら、右目のロックは解除されないのかもしれません。
それでも右目に遠視があるのに遠視が入っていない状態は
僕の中では見過ごせなかったのです。
ではQ1何故右目に遠視があるとその度数を入れた方が良いのでしょう?
更に、
何故Q2遠視を放置すると眼が内側に入るのでしょう?
それぞれ回答しますね。
Q1:遠視を放置すると無意識にピントの調節が入ってしまうからです。
Q2:ピントの調節運動と寄り眼の運動(輻輳といいます。)は連動しているからです。
41歳と言えば、遠視の方であれば、既に老眼の自覚があったでしょう。
当時は金融系のお仕事をしていたそうで、事務のお仕事で近方視を
長時間した事でしょう。その無理がたたり、バケツから水が溢れるように、
目は悲鳴を挙げて、内側に入ったままロックされてしまいました。
これが僕が予想するシナリオです。
一方、遠視が理由でなく眼が内側に入る場合もあります。
その場合に真っ先に疑わなくてはいけないのは、
脳内の微細な脳内出血です。これはMRIを撮ると
分かるそうですが、一方微細な脳内出血の血だまりを取り除く為に、
開頭手術をする訳にもいかず、原因はこれですね。
で終わってしまう場合が多いのです。
ですから眼が内側に入った時に真っ先に疑わなくてはいけないのは、
調節性の内斜視ではなく、脳内出血が先だと言いたいのです。
従って、脳神経外科に掛かり、その後脳内が異常なければ、
眼科や眼鏡屋の出番という形になりますから、
どうかそこだけはお間違いのないようにお願い致します。
今回のケースもMRIを撮った上で、ご来店頂いたので、
スムースに検査に入れました。
何しろ今回のケースは時間が掛かる。
それを覚悟せざるを得ない事例だったと思うのです。
それではまたこのblogでお会いしましょう。