上下斜位とヨークトプリズム

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眼石祝応のBLOG

上下斜位とヨークトプリズム

2022/07/08

本日のblogの難易度【★★★★★】

今朝の体重は78.6キロ。

今朝のYouTubeチャンネル登録者数は1109人。

 

さて今日いらした方は久々のご来店でしたが、

前回は手元作業用の単焦点レンズ、

今回は仕事以外で、例えば通勤の時の読書やスマホ、

レストランでのメニュー、スーパーマーケットでの正札。

 

何しろ歩きながら、何かをしていて、でも近くも見たい。

そんなご要望でした。最初そこで僕が

 

「では、遠くも近くも見える眼鏡が良いのですね?」

 

っと確認すると

 

お客様「いえ、遠くは良く見えているので近くだけで大丈夫です。」

 

という回答でした。

 

僕は「?」っと思い、別の聞き方をします。

 

「っという事はその眼鏡をしたら歩けなくなりますが、

歩く時は外して歩くという事でよろしいですね?」

 

っと聞くと不思議な顔をしています。

 

「えっと、つまりお手元だけを見えれば良い眼鏡は、

遠くが見えないのです。床もぼやけて霞んでいるので、

原則歩けないと思って下さい。だから歩きながら手元も見たいとか、

電車の中で近くを見たいという場合には、遠くが良く見える度数と

近く用の度数を混在させた眼鏡を作る必要があります。

そしてそれが遠近両用レンズというのです。」

 

っと念押しすると

 

お客様「あ、それです。」

 

っと途端に明るい顔に戻りました。

そのお客様の目を拝見すると特徴的な目をしていました。

 

カバーテストといって、片目ずつ目を隠した時に

目がどちらに動くかと言うと

両目共に上に逃げます。

 

多くのケースでは片目が上で片目が下という具合に動きます。

ではこのお方は同じだけ上にずれるのでしょうか?

 

いえ、そうではありませんでした。

右目だけ左目よりも大きくずれている事が見てとれました。

つまり左眼上斜位という状態です。

 

実際に前回の眼鏡ではこの上下斜位の矯正をいれた

お手元用眼鏡を作っていました。

 

今回はそれに加えてもうひと手間つけたしました。

それがヨークトプリズムという概念であり、手法です。

 

今回は

 

右目にベースアップと通常ならいれるべきところを、

左目に大きな固視ずれが見えたので、左目に上下斜位を矯正し、

 

ベースダウン1.50△を入れて眼鏡を作製します。

 

更に両目共に上に目が逃げたいのですから、

両目にベースダウンを4△入れた状態で

お試しをしましたが、

何しろ遠くも近くも良く見えるとご満悦でした。

 

水平眼位は遠も近も内斜位でしたが、

特に調節性輻輳が強く、ピント調節をさせると

大きく目が内側に入る特徴もありました。

 

こういったケースでは遠近両用レンズが有効なので、

遠近両用レンズに決定しました。

 

悔しいのは、前回が最初のご縁だったのですが、

前回はその発想が僕に無かった事が悔やまれます。

まだまだ僕は発展途上で、伸びしろばかりだと言えます。

 

このヨークトプリズムという概念が

日本では殆ど普及していませんが、

これが普及してくれる事を願って、

先日セミナーを主催しました。

 

英文ではその論文が結構ヒットしましたが、

日本ではまだまだこれからの分野の様です。

 

このご報告がどこかのお店の

  どなたかのお役に立ちますように。

 

それではまたこのblogでお会いしましょう。

 

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