不同視かつ斜視

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眼石祝応のBLOG

不同視かつ斜視

2021/03/22

本日のblogの難易度【★★★★★】

今朝の体重は、測定し忘れた~!!

今朝のYouTubeチャンネル登録者数は532人。

 

さて、明日からお店は三連休、

お休みさせて頂きます。

 

急な調整等でご迷惑をお掛けすると承知しておりますが、

何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

 

先日いらした40代前半の男性は、中学生の時から斜視の自覚があり、

夕方になると物がダブって見える自覚がある方、

仕事はPCがメインのお仕事をされている方でした。

 

早速度数を見てみると水平のずれは大きく無いものの、

上下に大きくずれていました。更に不同視といって、

左右に度数差が存在しています。今回のケースで言えば、

右目が近視、左目が正視遠視系の目でした。

 

では今はどんな眼鏡を使っているのでしょう?

旧度 R -5.66 0.03 0   32.50 0.50 1.20
L 0.34 -0.09 106   32.50 1.20

こんな感じ、右目が明らかに視力が出ていませんでしたが、

これは敢えてそれを狙ったのでしょうか?

敢えてこういった度数調整をすることがあります。

それをモノビジョンと言いますが、若しもそれを狙うならば

もっと思い切った度数差をつけてあげた方が効果が期待できます。

 

この状態では視力差が両眼視を阻害する「だけ」に

終わるリスクがあるのです。

 

更に言えば、40代前半とはいえ、

そろそろ老眼の足音が聞こえてくるお年頃、

また、メガネ作りにおいて僕は大切だと思う事は、

 

今に集中しながら、今だけを見ない事です。

 

少しだけ解説しますので、お付き合いください。

どういう事かと言えば、今眼の前のお客様が既に答えを持っていて、

過去の事例や教科書、自身の経験上の平均値に

囚われ過ぎてしまうと本質を見失うと言っています。

 

過去の事例では上手くいかずとも、

今、目の前のお客様の自覚が快適だと言えば、

それは僕の経験上、上手くいく可能性が高いとい事です。

 

一方、僕らが扱うメガネという商材は、耐久消費財と言って差支えありません。

どんなに短くとも1年や2年はこのメガネを掛けて生活します。

量販店でしかメガネを作らない方にとっては、驚かれるかもしれませんが、

うちの様にお値段のはるメガネを買うような方たちは

10年以上使う方も珍しくありません。

 

一方フレームで10年以上持つのは当たり前として、

レンズは車で言えばタイヤと一緒で、常に摩耗と戦っています。

更に言えば、度が変わればレンズ交換のタイミングとなりますね。

 

つまりこれからの数年間、このお方の眼はどのような変化を伴うのだろう?

 

これをある低​​​​​​程度予想?想定?し、度数を決定する必要があります。

 

近視であれば、進行期なのか、安定期なのか、

そして加齢に伴い、老眼の自覚が始まるのか?

 

これらを見越したうえで度数提案をするべきだと

僕は主張しているのです。

 

では今回はどんな眼鏡を作ったのでしょう?

先ずは完全矯正値からご紹介します。

両眼解放 R -6.75 -0.50 98   64.0 1.2 1.5
L 0.25 -0.25 122   1.2

この様に、両目共に視力を揃える事は難しくない眼だと見てとれます。

このお方はPCを12時間も毎日作業するそうです。

それでは眼が悲鳴を挙げるのも無理はありません。

先ずは眼の運動量をコントロールしてみましょう。

実際に作った度数は以下の通りです。

処方値 R -5.75 -0.50 98       0.5
L 1.25 -0.25 122      

左右の眼に+1.00の度数を足すと上記の様な度数になります。

これをプラス加入と言いますが、理論上の遠点(一番視力の出る遠方のある地点)は、

1mですが、実際にはこの+1.00加入では理論通りにならず、80㎝程度に落ち着く事が多いのです。

これで先ずはピントの調節筋の仕事量を落とします。

次は外眼筋の仕事量のコントロールと斜視角の調整です。

R BI ~~0~?~? 4 R UP 9~6.5~6.5 4
L BO 3 L 4
遠見眼位 -12 近見眼位 -20 HTF-AC/A比 3.20 輻輳近点 8

こんな感じ。右目にベースイン4.00△(プリズム)、左目にベースイン3.00△。

左アップに4.00△、右ダウンに4.00△

 

この様にして寄り眼を助けて、更に上下のずれを「レンズ」が矯正する事により、

眼は不要な上下のダブりを調整する必要が無くなり、緊張が解けるでしょう。

 

ただし、今回の度数では0.5しか遠方を見る時には視力が出ていないので、

今後は、遠く用もしっかり斜視矯正した上で、作って頂き遠と近の使い分けを推奨しました。

 

また、不同視(左右の度数差が±2.00以上)についてですが、不等像視になっていなければ、

度数差を必要以上に気にしない方が良いよ。というのが僕のスタイルですが、

今回も立派な不同視でしたが、不等像視とは測定されませんでした。

 

若しかしたら前回の眼鏡屋さんはこの度数差にびびってしまったのかもしれませんね。

取り合えず、右目の近視は弱くしておけと、これはこれで勿論ありですが、

落とすにしても根拠は必要ですね。今回僕はその根拠が見つけられなかったにすぎません。

 

非常に変わった事例でしたね。

ですが、皆様もどうか諦めずにちゃんとした眼鏡屋さんに

相談に行ってみてください。僕がオススメする眼鏡屋さんは、

自分が知らない事を知らないとハッキリ言える人を信頼出来ると思います。

自分が知らない広大な世界がある事を知っている、

「無知の知」の境地に立っていると思うからです。

 

僕も視力測定中は常にぼやいています。

いくらやっても自信なんて欠片も出てきません。

どうやったらお客様の眼を丸裸(失礼!)に出来るのだろう?

って日々試行錯誤しているのです。

僕も眼鏡屋のおっさんのぼやきの様なblogになってしまいました。

最後まで読んで頂き、ただただ感謝です。

 

それではまたこのblogでお会いしましょう。
 

 

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