快適と感じている眼鏡を仕立て直す難しさ

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眼石祝応のBLOG

快適と感じている眼鏡を仕立て直す難しさ

2021/05/07

本日のblogの難易度【★★★】

今朝の体重は76.1キロ。

げ!太ってる。何も悪戯していないのに、

おいらは霞を食べて生きている説が再度浮かんできました。

今朝のYouTubeチャンネル登録者数は569人。

 

さて、今日ご紹介する事例は59歳で初めて遠近両用レンズを

眼科処方で作ったお方が、今度は君(僕です。)に任せたい。

と眼科で処方箋を貰わず、僕に任せてくれる事になりました。

 

眼鏡屋やってて良かったって思う瞬間です。

 

でも今回一番難しいと感じたのは、

お客様がその眼科処方の眼鏡を快適と感じているからでした。

 

お客様がうちのお店にいらっしゃる時って

他のお店で作った眼鏡が度が合わなくなってきたとか、

老眼が進んだとか、近視が進んで遠くが見えなくなったとか、

それこそ、斜視で物がダブって見えるとか。

なにかしらご不満を抱えているケースが圧倒的多数です。

 

そんな中で、快適に感じている状態から

度を変えれば、度を変えた度合いが強ければ強い程に

違和感が生じる可能性があります。

 

つまり、結果的に度を変えない方が良かったと

言われるケースもあるのです。

 

でも、今回頂いたお題目では、

 

(今の眼鏡は快適だが)敢えて言うのなら、

もう少しだけでも遠くが見えたらいいな。

 

が頂いたお題目でした。

 

ところが、ここでもう一つ問題が生じます。

とはいえ、PC作業が一日のメインの仕事なので、

遠くが見えるようになったけど、

近くが見え難くなったり、疲れやすくなってしまうのも困る。

 

本当は頭を抱えたくなるくらいに難しい目標設定でした。

では実際に度数の状態を見てみましょう。レフケラの数値からです。

屈折   SPH CYL AX ADD PD 片眼視力 両眼視力
他覚 R -1.00 -1.50 93   31.50 0.40 0.40
L -1.50 -1.75 93   31.50 0.20
角膜乱視 R   -0.25 92 色覚特性 8  9  
L -0.25 175 5  2
旧度 R -0.50 -0.50 90 1.50 32.0 0.50 0.50
L -0.50 -0.75 90 1.50 31.0 0.50

この旧度の度数を見て少しやれるかもと感じました。

近視が弱矯正なのは、折り込み済み、でも乱視もかなり弱矯正です。

近視を強めずに逆に近視を落としても、視力が今の眼鏡より見えたら?

 

これは喜んで貰えるかも?っと微かな希望が湧いてきました。

早速両眼開放屈折検査をしてみましょう。

両眼解放 R -1.00 -1.50 93   63.0 1.5 1.5
L -1.00 -1.75 90   1.5

そもそも眼科に罹ったのも、白内障が心配だからと病院に行ったそうですが、

これだけ視力が出るのであれば、その影響は軽微だと言えるでしょう。

視力が出るという事は、落とす余力もあるという事ですから、

ぐぐっと、手ごたえが増したことを感じました。

 

そして選んだ度数は以下の通りです。

処方値 R -0.25 -1.50 93 1.75   0.8 0.9
L -0.25 -1.75 90 1.75   0.8

両目で0.9、

以前の眼鏡が0.5ですから、それに比べれば多少は見えやすいでしょう。

更に近視の度数を

 

S-0.50から、S-0.25に落とし乱視もしっかり矯正したので、

PC画面も見えやすくなります。 

 

またスマフォ等は裸眼で見ると仰っていましたが、

掛けたままでも充分に見えるように加入度を+1.50から+1.75に

一段階矯正度合いを強めました。

 

ただし、ここでもまた問題が、

この一段階の差で、中間領域の狭さ※を感じるというのです。

 

そこで困った僕は以前はNIKONのロハスセブンというレンズで提案しましたが、

今回はロハステンという一つ上のグレードで提案しました。

 

※遠近両用レンズの加入度を強めると明視域と言って

快適にお使い頂ける視野が狭くなります。

 

遠近両用レンズで、レンズのグレードを上げると

明視域は広がり、収差領域は狭くなります。

 

この言い方は難しいですね。

もう少し噛み砕くと、

 

え~とこ増えて、わるいとこ減るっちゅうこっちゃ。

(↑噛み砕きすぎ。)

 

快適に見えるところが広がれば、いちいち首を振らなくとも

目線の移動だけで作業がこなせます。これを楽だと感じたり、

自分にとってのメリットだと感じれば、ご予算の許す限り

良いレンズを使って下さい。

 

今回は60歳目前と、老眼の進行もひと段落する時期ですから、

今回のレンズはきっと長くお使い頂ける事でしょう。

 

このレンズのグレードを上げた時の注意点は、

上げたグレードを落とすのは意外と苦労しまっせという事です。

 

つまり、レンズのグレードを上げたら、更に上げる事は良いとしても、

今は予算が無いから、今回はグレードを下げますというご選択は

あまり、よろしくないとご理解下さい。

 

当たり前ですが、今後も年はとります。

年をとれば60歳を過ぎても少しずつですが、老眼は進行します。

老眼が進行すれば、加入度は強いレンズを欲しがります。

加入度を強めれば、明視域は狭くなります。

 

つまり加齢に伴い、手元が見え難くなった際に、

加入度を強めて、グレードをそのままだとしても明視域は狭くなるのに、

更にグレードを下げればダブルパンチで使い勝手が悪くなるという事です。

 

ではどうすれば良いのでしょう?

 

それは予算を抜きにして理想だけ申し上げれば、

お年を重ねていくたびにレンズのグレードを上げていけば、

明視域が狭くなるというマイナスの影響はミニマムで済むという事です。

 

嫌な話ですね。年をとればとる程に

良いレンズが欲しがるようになっているって。

んでも現状は致し方ないとしか言いようがありませんが、

先ずは皆様も今後の10年、20年を見据えたメガネの予算組が必要になる事を

どうかご理解頂きたいと願い、今日のblog記事にさせて頂きました。

 

あ、一番駄目な奴は、一番高いレンズを買って、

高い奴買ったから10年は使おう!これは明らかなミステイクです。

それは止めてください。10年も経てば度数も変わるし、

グレードの低い物でも、豆に現状に合わせた方が

余程健康にはプラスに働きます。

 

そもそも第二次変動期で、近視は今後も減ると予想しますからね。

 

具体例を挙げてみましょう。

 

1組15万円のレンズを10年使う。

 

よりも

 

1組3万のレンズ最初の3年で使い、

1組5万のレンズを次の3年間で使い、

1組7万のレンズを次の3年間で使う。

 

3+5+7=15万円。

 

同じ15万円でも、後者の方が現状に合わせている分だけ

余程良いと理解してください。

 

無理の無いレンズ計画。

 

それが肝心なのです。

 

それではまたこのblogでお会いしましょう。

 

 

 

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