55歳、初めての遠近両用

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55歳、初めての遠近両用

2021/10/17

本日のblogの難易度【★★★★★】

今朝の体重は76.4キロ。

今朝のYouTubeチャンネル登録者数は762人。

 

昨日いらした方は、一見様、なんでも老眼が始まり、

老眼鏡が欲しいという相談内容でした。

 

そもそも、近視の方が老眼になり、老眼対策としては、

どんな選択肢があるのでしょう?いかにまとめてみました。

 

①裸眼になる。(近視の方が眼鏡を外すと老眼鏡を掛けた効果が生ずるのです。)

例S-2.00(おおよそ裸眼視力が0.1程度の人が普段はS-2.00で矯正された眼鏡を

掛けていて、視力が1.5まで出ていたとします。この状態で老眼なのであれば、

手元が霞ます。でも眼鏡をおでこに上げて見れば霞んでいた対象物は明視します。

 

S-2.00の眼鏡を外す=S+2.00の老眼鏡(凸レンズ)を掛けた効果があるのです。

 

②単焦点レンズで老眼鏡を作る。例えば上記の事例であれば、裸眼にすれば問題ないので、S-2.00の近視の方は、ほぼほぼ単焦点レンズの老眼鏡のお世話にならないと予想します。

そのため②のケースでは

S-1.00の人が老眼になったらと想定して解説しますね。

S-1.00の人が初期の老眼では最初は眼鏡を外せば見えます。

ところが①のケースで想定した様に

 

S-1.00の人が眼鏡を外す=S+1.00の老眼鏡を掛けた効果があります。

 

①のケースではS+2.00の老眼鏡を掛けた効果があるので、

かなりのケースで単焦点レンズの老眼鏡は不要になりますが、

②の方が眼鏡を外してもS+1.00の効果しか生じないので

初期の老眼までしか対応できなくなります。

この時に初めて

 

S+1.00の老眼鏡(単焦点レンズ)の出番が生じます。

 

そもそもこの設定ではS-1.00の屈折異常を有していますから、

裸眼になりS+1.00の効果、更に裸眼にS+1.00の老眼鏡を掛けることで、

 

合算でS+2.00の効果を体感します。

 

今は屈折異常の量と老眼だけで解説していますが、

本来はここにピント合わせの調節力を考慮すべきですが、

それを解説しようとすると難解になるので

今回は割愛します。何しろ近視の人はピント合わせの能力に関しては

ある意味恵まれているし、僕は現代社会では多少近視気味の方が

ITデバイスに囲まれている今の日本では、その方が何かと都合が良いと

感じています。余程正視/遠視系の人の方が苦労していると言えますし、

 

レーシック難民と呼ばれる方々は、そもそも

 

ピント合わせで恵まれている環境=近視状態

 

だったのに、突然近視を矯正し過ぎて

遠視になった途端にピント合わせを

過去に経験したことがない程に求められるので、

パニックを起こしていると僕は予想していますし、

 

角膜表面の知覚神経にダメージを負ってしまった為に

渇きや痛みを訴えるケースに関しては無力でしたが、

ピント合わせに対して改善提案をすると喜んで頂けた

ケースが幾例もありました。

 

手元が快適な近視から突然手元が

不快な遠視になってしまうのですから、

それは当然パニックくらい起こすでしょう。

 

では次のケースです。

 

③遠近両用レンズで老眼対策をする。そもそも外せば近くは見えるのですから、

遠近両用レンズなんて必要ないと思われるかもしれませんが、

遠近両用レンズである必要がある方も当然いらっしゃいます。

 

それは近くも遠くも交互に見たい

 

というニーズです。ここでいう近くとは、遠くとはの設定は

千差万別で、それこそ、遠くが10m先のプロジェクターの画面の人もいれば、

デスクトップパソコンのモニターを70㎝先に設定しているケースと

その焦点距離の設定は細かくヒアリングした上で設定していきます。

 

近くもスマフォに合わせて20㎝や、読書で33センチ、新聞で40センチ

なんて目標とする視物に合わせて距離を変えて度数設定します。

 

今回いらした方は、まさに遠くも近くもでしたが、

この場合の遠くは今のテレビ、近くはスマフォに設定しました。

 

つまりながら観というか、テレビを観ながらスマホもいじるなんて

ケースでは非常に便利で遠くに合わせた単焦点レンズでテレビをみて、

近くを見る時に、いちいちおでこに眼鏡を上げるなんて面倒くさいですよね?

遠近両用レンズはそんなシーンで非常に有用です。

 

では実際の事例を紹介してみますね。先ずはレフケラという機械の測定値

屈折   SPH CYL AX ADD PD 片眼視力 両眼視力
他覚 R -4.25 -1.00 109   32.00 0.05 0.15
L -2.75 -1.00 74   32.00 0.15
角膜乱視 R   -0.75 153 色覚特性 8  9  
L -0.50 37 5  2

左右の度数差が少し気になりますね。完全矯正値は以下の通りです。

両眼解放 R -4.00 -0.75 110 +2.25(40) 64.0   1.5
L -2.50 -1.00 75 +2.25(40)  

しっかり視力も出ますし、それ程問題があるとは思えません。

ですが、1.5まで視力を矯正する必要を感じないそうです。せいぜい2m先の

55インチのテレビが見えればよいとのことです。そこで度数調整をしました。

処方値 R -3.50 -0.75 110 1.25     1.0
L -2.00 -1.00 75 1.25    

これで①の事例や②の事例を思い出してください。

S-2.00の人がS-2.00の眼鏡を外すと

S+2.00の老眼鏡を掛けた効果があるというくだりです。

 

今回は完全矯正値にS+0.50足して二段階近視を弱めました。

つまり二段階下げた時点でS+0.50の老眼鏡を掛けた効果があるのです。

これから遠近両用レンズで下に目線を下げると

加入度のS+1.25の効果が生じます。

 

つまり

 

S+0.50+S+1.25=S+1.75の老眼鏡を掛けた効果が発生しているのです。

 

これで十分とは言えないまでも、初めての遠近両用レンズで使える加入度にも

限界があると僕は思っていますし、グラシアスのハウスルールでは、

初めての遠近両用で三つの選択肢をご用意しています。

 

④S+0.75=初心者向きの遠近両用レンズの一番容易な度数。

⑤S+1.00=初心者向きの遠近両用レンズの中間的な度数。

⑥S+1.25=初心者向きの遠近両用レンズの中では一番矯正度合いが強い度数。

 

④のパターンであれば、比較的慣らしも楽で、歩行もそれ程違和感が生じません。

⑥のパターンであれば、多少の違和感も生じますし、慣らしは大変かもしれませんが、快適に手元が明視できます。

⑤はその中間的な意味合いです。

 

④は慣らしやすいのですが、一方あっという間に手元が見え難くなります。

老眼が進行すると老眼対策としては不十分だと眼が感じるのです。

⑥は慣らしは多少しっかり準備期間を設ける必要がありますが、

手元は快適でしょう。また今回のように遠くの度数で調整すれば、

長くお使い頂けるレンズになるでしょう。

 

このように説明したうえで、僕らは老眼対策の補正度合い、

強/中/弱をお客様ご自身に選らんでいただきます。

 

性格的に慣らしはしたくないなんて方もいらっしゃいますし、

更に言えば、中心視と周辺視の使い方の個人差でも

この慣らしの難易度は変動しますから、一概にあなたにはこうだから

、強め(弱め)にしなさいとは言えません。

 

皆さんはご自分が遠視か、近視か、乱視か?なんてお分かりですか?

まずはそこが分かっていないと正しい対策がうてません。

眼鏡外せば見えるから私は老眼じゃないのよ、なんて豪語している方を

巷ではよくよくお見掛けしますが、今日のblogを読み正しくご理解いただければ、

それは間違った知識だとご理解頂けると思います。

 

今日も長くなってしまいました。

それではまたこのblogでお会いしましょう。

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