目的距離20㎝という過酷な環境

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眼石祝応のBLOG

目的距離20㎝という過酷な環境

2021/10/29

本日のblogの難易度【★★★★★】

今朝の体重は…測定し忘れた~!!!

今朝のYouTubeチャンネル登録者数は787人。

 

さて昨日いらした方は、絵を描くお仕事、

お聞きすると、目的距離は20㎝から40㎝。

 

非常に細かい絵を描いているのでしょう。

主訴としては、何しろ頭痛持ちでイブやバファリンが

手放せない状況だとおっしゃっていました。

 

目に起因しているかどうかは不明ですが、

不定愁訴として多くの体調不良を訴えていらっしゃいました。

 

ご参考までに羅列しておきますね。

 

ドライアイ/アレルギー/肩こり/慢性的な頭痛/眼精疲労/耳鳴り/

異常な眩しさ/遠近感の狂い/腰痛/歯ぎしり/胃腸が弱い。

 

ちょっと想像するだけで辛そうです。

 

ではこんなに大変な思いをしている人に

眼鏡屋が何か助けになるようなことを提案できるのでしょうか?

別にこのお方は31歳で老眼でもありませんし、

手元が見えないという主訴でもありません。

 

実際の一日の作業時間は10h、こりゃ過酷です。

更に目的とする距離はタイトルにあるように、

20㎝~40㎝とこれもまた更に過酷です。

 

皆さんも知っておいて欲しいのですが、

 

目に仕事を課す場合には、

 

時間が増せば増すほどに、

距離が手元に近づけば近づく程に、

 

運動量は増えていきます。

 

今回は時間、距離共に、そもそも過酷な設定だと言えるのです。

 

そこで僕は何をしたのでしょう。

 

先ずは①ピントの調節運動に対して運動を減らすことをしました。

近視だったので、近視を弱矯正にしたのです。

 

次は光の眩しさ対策として、ご自身の好む色を測定し、

②カラーレンズを提案しました。今回はイエローを好んでいらっしゃいました。

 

最後により目の力、余力と言うほうが正確ですが、

より目の力と、そもそもの目線のずれの量(斜位)を測定します。

 

遠くを見た時の斜位=外斜位で4△(プリズム)のずれ

40㎝を見た時の斜位=外斜位で10△のずれ

20㎝を見た時の斜位=外斜位で18△のずれ

 

っとこのように近くに寄ればよる程に斜位量は増えていきます。

遠くの斜位で4△というのは、異常でもなんでもありませんし、

近くに近づくにつれて斜位量が増えるのも異常ではありません。

 

異常なのは、その時間と20㎝という距離です。

 

そこで僕は20㎝でも寄り目を辛いと感じないように

三番目の対策としてプリズムを入れて作りました。

 

近くを見る時だけの専門的な用途の眼鏡です。

 

このように近くを見る時に辛いと感じるのは、

老眼世代だけではなく、今回の様に、お若い方でも、

近くを注視し続けることも、過度になれば

体も悲鳴を挙げるのです。

 

本来は一日の作業時間を減らすか、

対象とする視物を遠ざけるのが正解です。

 

ただし、紙や液タブに描くという作業は、

手の長さや体格などで制限があります。

また、そもそも近くを見た時に明視出来ていないと

 

近づかないと見えない

 

っという可能性もあります。

 

では既存の眼鏡はどんな環境で、今の目の状態はどうだったのか、

そして僕はどんな眼鏡を提案したのかご紹介しますね。

 

先ずはレフケラ値、裸眼視力、更に従来の眼鏡の矯正視力です。

屈折   SPH CYL AX ADD PD 片眼視力 両眼視力
他覚 R -3.50 -0.25 168   29.50 0.05 0.10
L -3.00 -1.00 4   29.50 0.10
角膜乱視 R   -1.25 179 色覚特性 8  9  
L -1.50 5 5  2
旧度 R -2.44 -0.05 0   29.50 0.40 0.90
L -2.46 -0.02 0   29.50 0.70

裸眼視力はレフケラ値から見れば妥当です。

従来の眼鏡が視力がそれ程出ていません。では完全矯正値の測定をしてみましょう。

両眼解放 R -2.75 -0.50 170   59.0 1.0 1.2
L -2.50 -1.25 5   1.5

これと旧度を比較すると従来の眼鏡はそれ程弱めには調整されていない事が分かります。

一方、近視はしっかり入れているのに視力はそれ程改善していません。

 

この原因は乱視です。乱視が未矯正なので、

思ったような視力が出ない状態なのです。

 

ではどんな度数を提案したのでしょう?

処方値 R -1.25 -0.50 170  2△BI  
L -1.00 -1.25 5  3△BI  

一番強い度数が6段階(一段階は0.25D)落とした眼鏡になっています。

 

今回は遠くの斜位だけを測定し、原因に迫ろうとしても

答えにたどり着かなかったでしょう。

40㎝と20㎝で斜位量を測定した事が答えに近づけた要因だと思います。

 

皆様も自分が何気なくこなしている作業が

実は目は過酷だと感じているなんて考えたことがありますか?

 

目って意外と頑丈で疲れたって弱音をはかない器官らしいです。

 

でも今、眼精疲労って国民病の様に、だれでもPCやりすぎて

目頭を押さえたとか、目薬点したなんて経験ありますものね。

 

目が弱くなったのではなく、

外的環境が変化し、目に過度な仕事を要求するようになったのです。

 

そして、その原因は

 

時間と距離に類別され、

それぞれに応じた対策が

必要だと僕は思っています。

 

この時間と距離は自分自身でそれをコントロールしにくいことに

共通点があります。仕事の量は自分でコントロールなんてしにくくって、

繁忙期はついつい長時間労働になりがちで、

 

距離は自らの手の長さという制約があるのです。

 

それならば、メガネで遠くをぼっと見るように、調整してあげれば、

運動量を減らすことが出来るのではないか?

っというのが発想の根本です。

 

皆様も自らの仕事の環境を見つけなおし、

時に眼鏡が皆様の仕事の生産性を上げたり、

疲労度を軽減したりするお手伝いが出来るんですよ。

 

って知って頂きたいなと思い

blog記事にしました。

 

困っている人のこの情報が届けと願います。

それではまたこのblogでお会いしましょう。

 

 

 

 

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