遠視の方の手元用メガネ

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眼石祝応のBLOG

遠視の方の手元用メガネ

2022/01/11

本日のblogの難易度【★★★★★】

今朝の体重は76.9キロ。

今朝のYouTubeチャンネル登録者数は866人。

 

さてさて今日はあるお方と撮影会、

YouTubeのネタを一つ仕込んでいきます。

 

昨日いらした方は、今の眼鏡にそれ程問題を感じていなく、

眼鏡を掛ければ必要な情報がしっかりと得られる状態でした。

 

事務系のお仕事で年齢は45歳。

 

近視や遠視等の屈折異常の状況次第では

そろそろ老眼の足音が聞こえてくるご年齢です。

では早速レフケラ値から見ていきましょう。

屈折   SPH CYL AX ADD PD 片眼視力 両眼視力
他覚 R 2.25 -1.00 101   32.00 0.80 1.00
L 1.75 -1.00 92   32.00 0.70
R瞳孔径 6㍉ 角膜乱視 0.00 0 夜間矯正視力 BE1.0 夜間近視 追加加算
L瞳孔径 6㍉ 0.00 0 R1.2 L1.0 S-0.25加算

これを見ると僕は「おっ!」と声を挙げます。

(随分立派な遠視だこと…。)

っと驚いたのです。しかも普段は裸眼だと言うのです。

 

裸眼視力は1.0ですから確かに不自由はないのかもしれません。

でも、この型の生活の質はどうだったのでしょう?

余計なお世話かもしれませんが心配してしまいます。

 

主訴としては、

 

①手元がぼやける。

②首・肩こり

③乗り物酔い

 

くらいのご様子で、

それ程ダメージがある様には思えません。

ですが、それでも普段から余計な力を入れて見る癖、

いわば目の筋肉の筋トレを自らに課しているように

僕には見えるのです。

 

こういった目の筋トレ癖がある方の遠視矯正は実は

難しく、特に今お使いの眼鏡だと弱矯正だと、

その難易度は更に増します。

 

おっと、今の眼鏡の度数をご案内していませんでした。

今お使いの眼鏡は以下の度数でした。

旧度 R 1.75 -0.76 98   31.00
L 1.75 -1.05 89   29.00

これをお手元用だと思って使っていました。いわゆる遠視の弱矯正状態です。

実際の遠視量はいかほどだったのでしょう?

両眼解放 R 2.75 -1.25 100   64.0 1.0 1.5
L 2.00 -1.25 90   1.2

 右目の遠視進行が著しく、左は軽微と言えますが、

いずれにしても、遠視の弱矯正だと言えます。

 

では遠視の弱矯正って目にとってどんな状態なのでしょう?

 

それは「緊張しないと、どこにもピントが合っていない状態。」

 

だと言えます。どこにもピントが合っていないから、

裸眼でも視力は1.0「しか」出ていないのです。

 

では手元はどうでしょう?

 

正視の方(屈折異常が無い方)にとって例えば

40㎝をご覧になりたいと思えばピントの調節刺激は

100÷40=2.5D(ディオプター)が求められます。

 

実際には刺激量よりも少ないピントの調節量になりますが、

今回はそこは難しいので割愛します。

 

何しろ老眼鏡で言えば

+2.00とか+2.50を欲しがる目の状態だと言えます。

 

ところが、このお方はそもそも遠くを見るのに、

 

元々の遠視量である+2.75のピント調節を入れる必要があり、

更に手元を見る為に+2.00とか+2.50の老眼鏡要素を加えたメガネを欲しがります。

 

すると

 

+2.75に+2.00を加えると+4.75Dの手元用度数を欲しがる筈なのです。

 

ところが、今の眼鏡は

+1.75しか入れていないのですから、その差は4.75-1.75=3.00D

ですから、今お使いの眼鏡は手元は勿論遠くにも合っていないという事です。

 

ただし、怖いのはこの眼鏡で問題なく使えていたと本人は思っていたことです。

そして手元用メガネだと思い込んでいた+1.75Dの今の眼鏡は

遠くを見る事に困難な状態ではなく、むしろ裸眼視力より多少改善しています。

 

だとするとこんなお方はこういう風に思い込みます。

 

「あ、老眼鏡掛けたって遠くが見えるのが当たり前。」

 

こういった間違った知識を意識無意識に刷り込まれるのです。

ですから本来の手元用に合わせたメガネを僕が提案すると

遠くが見えない、度が強い感じがする。

 

グラグラするとまるで便利さを感じて頂けませんでした。

 

これは東京の眼鏡学校の先生に教わりましたが、

その先生が言うには

 

「壊れていない時計は直せない。」

 

これを眼鏡に置き換えると

 

「困っていない人に、改善提案をしても理解できずに受け入れられない。」

 

と僕は変換しました。今回はまさにこんなケースでした。

結局僕は遠く用の度数に一段階+0.25Dを加えた度数で提案しました。

処方値 R 3.00 -1.25 100       1.2
L 2.25 -1.25 90      

これで遠用視力は1.2ですからほぼほぼ遠用度数だと言えます。

こうなってしまうと僕のやりたい事は出来ませんが、

一歩一歩、誤解を解きながら、段階的に矯正していく他ありません。

 

今回の眼鏡では一時的には快適にお使い頂けます。

でも長くは快適に使えない事をどうかご理解とだけ

念押ししておきました。ただし数年後に僕の言葉を覚えていない事の方が多いので、

それはそれでまた説明のし直しになるのですが、それは致し方ありません。

 

何しろ今日僕がいいたかったのは、

自分の経験や思い込みが邪魔をする事が

ままあるのですという事です。

 

 

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