近視進行抑制と遠近両用レンズとプリズムレンズ

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眼石祝応のBLOG

近視進行抑制と遠近両用レンズとプリズムレンズ

2022/05/28

本日のblogの難易度【★★★★★】

今朝の体重は79.0キロ。

今朝のYouTubeチャンネル登録者数は1056人。

 

さて、先日参加した第26回 日本眼鏡学会

そこで僕は僕の背中を押してくれる論文と出会いました。

 

 

何しろ僕は開業してから、ずっと近視進行抑制に関して

自らに課してきました。近視の無い世の中、

近視進行を繰り返し、度数交換を繰り返している

近視進行期のお子様達、その方々をお店で繰り返し繰り返し

何度もお見掛けする度に心が痛みました。

 

近視の無い世の中になればいいのに。

それで僕の仕事が減ったとしても、

それで誰かが笑顔になれるなら良いな~

 

って心底思ってました。

 

そして僕が思ったのは、

 

近視って近くを見ているのに適した状態を作る為に、

環境に適応して近視化しているんじゃないの?

だとしたら、それは自然な反応で近視化そのものを

害悪だと捉える必要が無く、必要がないばかりか、

近視を害悪と捉えて視力矯正を繰り返す事は、

 

不自然ではないか?

 

っと感じていたのです。

 

近視になるという事は、イコール遠くが見えなくなる事です。

例えば映画の字幕が見え難くなり、運転では標識が見えなくなり、

更に家の中で居間のテレビを視聴する事すら困難になります。

 

これは立派な不便ですよね?

 

僕もこれには100%同意します。

不便以外の何物でもないと思っています。

 

ところが近視化を僕はそれでも害悪ではないと

思っています。どういうことでしょう?

 

きっとこのブログをご覧になっている方も

不思議に感じますよね?

 

つまり近視化は不便である事は認めつつも、

実際に皆様はどれくらい遠くを見ていますか?

っという質問であり、僕の疑問が生じます。

 

居間のテレビでさえ、今ではメインストリームから外れ、

スマホやタブレットで配信やサブスクで動画を視聴する時代です。

 

車の運転も今の若者は僕らの世代と比べて

自家用車に対して憧れもなく、

必要であれば、買うという程度の物かもしれません。

 

余談ですが、僕らの世代は免許があって、

どんなボロ車でも自分の車が無いと

女性にもてない時代でした。

 

少なくとも見た目にこれといった特徴の無い僕は、

「車」様の神通力に頼る必要がありました。

すみません、何しろ運転の必要性も今では薄まっていますし、

少し未来に目を向ければ、移動はシェアカーで自動運転、

タクシーすら不要な時代も見据えているとテレビで報じていました。

はい、僕は未だにテレビでニュースとスポーツは見ています。(苦笑)

 

運転というニーズもきっと弱まるのでしょう。

 

一方デジタルデバイスに関しては日進月歩で

僕らの生活に染み込んできます。

 

そしてより一層近業作業を僕らに強いるのです。

敢えて強いるという言葉を使いました。

 

(なかなか論文の内容に行かないな~。)

 

それは長時間の近業作業は特に目に疲労やストレスを与えると

僕は感じているからで、そしてそのストレスを回避する為に

目は近視化すると僕は予想したのです。

 

(やっと戻ってきた。)

 

近視化すると遠くは見えません。

ただし、近くを見る時にピントの調節運動の

運動量が低下します。

 

ここに僕は着目しました。

 

近視化するという事は、近くを楽に見させる事で、

それならば、近視化したとしてもそれはむしろ好都合で、

「近視を矯正しない」という選択肢は無いのか?

 

それはそもそもの僕の近視進行抑制の出発点です。

 

それが2006年くらいの僕の心境でした。

 

そこで試したのが、

遠くを見たい時には遠く用メガネ、

近くを見たい時には近く用メガネ。

 

この二本使いを積極的に推奨しました。

それは近視進行期の若者でも提案します。

この二本使いの提案は当時は異端で、

遠く用と近く用の眼鏡を提案するのは老眼になってから、

つまり40代以降にはあり得るけど、

 

10代や20代に提案するなんてあり得ない。

成長期にはピントの調節もむしろ沢山させるべきで、

それがビジョントレーニングになる。

 

だから、近視を未矯正にしたり、

弱矯正にしたりすることは

人の成長を阻む、だから近視矯正は

若者に関しては完全矯正値

つまり遠くにばっちり合わせるべきだという

考えが明らかに主流でした。

 

新参者の僕がそれに異を唱えたので、

当時は酷く叩かれたのを覚えています。

 

君は間違っていると名指しで言われました。

それでも僕は、何故かこの近視を遠用と近用で

二本使いをさせる事に未練を残し、いや、積極的に

継続して提案し続けました。

 

そのモチベーションの源泉は?と聞かれれば

それはもちろんお客様の反応です。

 

「いや~(目の)疲れが劇的に減ったよ。」

 

ある人は

 

「あれほど悩んでいた頭痛がピタリと止まったよ。」

 

またある人は

 

「頭痛だけでなく、肩こりがすっとひいて週に一回の整体に行かなくて

良くなったから、その分生活費に余裕が出来たよ。」

 

なんて人もいらっしゃいました。

そしてその事例には枚挙に暇がない程でした。

 

大反響だったのです。

 

これに僕は手ごたえを感じ、

 

そもそも近視は害悪ではなく、

むしろ多少の近視であれば、

良い反応だと顧客に説明するようになりました。

 

ただし、病的に強度化していく

原因不明のお方もいらっしゃいました。

正直そこに関して僕は何ら有効な手立てがありません。

 

僕が言っているのは、

近視進行期の若者に対して

近視進行抑制を目的として

 

二本使いを推奨したら、

疲労やストレスが軽減し

劇的に生活の質が改善したと

説明しているに過ぎません。

 

ではこのように二本使いを推奨する「だけ」で

特殊な事例を除けば全てのケースに対応したのでしょうか?

 

そこで今日の本題ですが、児童や幼児の眼鏡で

そもそも二本使いなんて使い分けが無理で、

親御さんが掛けかえさせる何て不可能で、

学校に行ったら子供の自主性に任せる他ありません。

 

だから、僕は一本で遠くも近くも「楽に」見える

レンズは無いか?と思案し結果として

 

子供に遠近両用レンズの提案を思い立ちました。

そして当初は自信も根拠もないけれど

と説明したうえで、ある意味実験的に子供に遠近両用レンズを

推奨し始めました。ここで結果を告げると

肌感覚ではおおよそ8割くらいの子供たちが

世間の感覚で言えば半年に一度レンズ交換をするなんて

事例がいくらでもあるのが子供の眼鏡の傾向だとお聞きしています。

 

ところが、うちで遠近両用レンズを作った子供の多くは

一年から二年以上も「同じ度数」で生活できたのです。

 

それは今回の論文でも述べているように、

 

近視進行抑制そのものの効果というよりも、

近視進行のスピード抑制に近かったと言えます。

 

ただし、今のところ、弊店で一から眼鏡を作った子供で

強度近視化(S-6.00以上)したお子様は皆無です。

 

これはある程度実績として誇っても良いのでは?

と考えていた矢先に、今回の論文と出会ったのですから、

僕の喜びをどうか皆様もわかって欲しいと思います。

 

では実際の論文の内容に入っていきます。

このお方も2014年の論文ですから、

僕とほぼ同時期に同じ疑念を抱いたのでしょう。

 

(以下転載開始)

小児の近視進行に対する遠近両用および遠近両用眼鏡の効果:無作為化臨床試験の3年間の結果

目的:遠近両用およびプリズム型の遠近両用眼鏡が近視の進行率が高い小児の近視を制御するかどうかを判断し、治療効果が調節の遅れおよび/または近視状態に依存するかどうかを評価すること。

結果3年間の近視の進行は、単眼レンズ群で平均(SE)-2.06(0.13)D、遠近両用眼鏡群で-1.25(0.10)D、遠近両用眼鏡群で-1.01(0.13)Dでした。 。軸方向の長さは、それぞれ0.82(0.05)mm、0.57(0.07)mm、および0.54(0.06)mmの平均(SE)を増加させました。遠近両用眼鏡(0.81 D)とプリズム遠近両用眼鏡(1.05 D)の治療効果は有意でした

使用した遠近両用眼鏡は、Essilorが提供するフロントベースカーブが+3.25 Dのカスタムメイドのポリカーボネート製遠近両用眼鏡でした。162のデザインがありました。(1)+1.50 Dの追加パワーを持つエグゼクティブ遠近両用眼鏡と(2)同じデザインです。各レンズの近くのセグメントに3-Δベースインプリズムを備えています(合計6Δ)(Myopilux MaxはEssilorから提供されています)。近装とプリズムの度数は、中国系カナダ人の子供を対象とした以前の研究の結果に基づいて選択されました。標準的な遠近両用グループの遠近両用眼鏡24。近方セグメントに6-Δベースインプリズムを追加すると、プリズム遠近両用グループのレンズ誘発遠近両用眼鏡がゼロに近くなりました。

(以上転載終わり)

 

詳細は原文をご覧になって下さい。何しろ遠近両用レンズを使って36か月使用した子供の方が

近視進行スピードが抑制出来た事が証明されています。

 

それをパーセンテージで言うならば39%

 

と本論文では有意差ありとして数値を明示しています。

 

そして本論文ではもう一つの事を言っています。

それはプリズムベースイン処方をしたお子様は更に

近視進行抑制効果が見られたという事です。

 

ここで解説が必要ですね。

 

プリズムベースインとは何か?というお話ですが、

それは鼻側に厚みのあるレンズで、それをすることによって

人のより目を助け、過度な寄り眼運動をさせないように

コントロール出来るレンズを指します。

余談ですが、弊店ではご来店いただいたお客様の

およそ8割にこのベースイン処方をしています。

 

下の図で言えば右のような状態です。

このプリズムを入れると

 

近視進行抑制につながり、

それと遠近両用レンズの相乗効果で更に近視進行スピードが

抑制されると実証されたというのです。

 

僕が小躍りする思いだったのは

何とかご理解頂けますか?

 

本当に15年以上試行錯誤してきた

メガネ作りの努力が報われた思いです。

 

では何故、

 

遠近両用レンズ+プリズムベースイン処方は

 

近視進行抑制に有効だったのでしょう?

 

僕はこう考えました。

 

そもそもピントの調節運動と寄り目運動は連動している。

ピントの調節をすれば「勝手」に寄り目になる。

 

これは議論の余地なくそうなります。

ただしピントの調節量あたりの寄り目量には個人差があります。

 

今回の治験では、イコールコンディションでやっていましたが、

実際の現場ではさらに突っ込んで寄り目の状況や眼位を考慮して

パーソナルに度数調整しています。

 

だから僕は本論文では51%に過ぎない有意差ではなく、

僕の肌感覚でおおよそ8割の人に有効だったという感覚を実感しています。

 

今回の実験では近業作業時にのみ

プリズムベースインを付加しています。

 

ですが、僕の仕立てるメガネで遠近両用レンズを用いた場合には

遠用度数にもプリズムベースインが入ります。

 

この遠用だろうと近用だろうとベースイン処方をするという事は、

目の筋肉、つまり外眼筋を緩めます。

 

そして緊張ではなく、弛緩、この状態を作る事が

人の目の機能を高めたり、運動をするときにパフォーマンスを発揮出来たりします。

そしてそれだけでなく、過度な緊張が近視進行につながるリスクを僕は懸念しています。

 

だからよりリラックスした状態になれる眼鏡を仕立てる必要があるのです。

 

これが更に姿勢改善につながったり、

自律神経につながったり、

筋肉にや血流にもつながっていきます。

 

つまり眼鏡一つで上記の様なエフェクトを身体だけでなく、

心にも与える可能性を示唆しています。

 

これって恐ろしくないですか?

僕はこの世界を覗き見てしまったからこそ、

この業界の改革を目指す必要性を痛感しました。

 

今日本のマーケットは世界的水準からみても

異質な業界です。それは眼鏡が雑貨化してしまった業界だからです。

 

でも僕が今指摘している事が本当だとしたら、

この眼鏡というものに国を挙げて投資をして

国民の生活の質を下支えしたり、

国民の労働生産性を高めたりする必要があり、

端的に言えば、眼鏡一本で国が変わると僕は言っているのです。

 

この世界を覗き見てしまった僕には無視してはいけない責任が生じます。

見て見ぬふりを自分で許せないのです。

 

いかがですか?近視進行は何故するのか、

それは未だ誰も分からないと答えるのが現状の正しい知識です。

 

でもある条件下では、近視進行スピードをコントロール出来る事が

近年分かってきたのです。これからも何か分かった事があれば

それは報告させて頂きます。是非皆様も正しい知識を得て

正しいご選択を頂きたいと切に願います。

 

僕はそれをいつものコピーで言うならこう表現します。

 

「賢明なる顧客が健全な業界を育む。」

 

この言葉で今日のブログを締めたいと思います。

それではまたこのブログでお会いしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

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