皆さんは自分でレンズの設計を選べますか?~その4~
2016/11/21
こんにちは、やっぱり長編になってしまった設計編ですが、もう少しお付き合いください。
過去ログでは、消費者にとって設計の選択というものは縁遠いものになってしまったこととその理由。
次には実際に設計を変えた時に起こる違和感やプラスの効果。これを解説しました。
そして前回が、設計の種類と各レンズ毎のお勧めの方を説明しました。
では今日は設計を変えると何故違和感が出るのでしょう?という解説からです。
その違和感の説明の前に、人の眼なんてものは、多少の光学的な収差という歪みには
多くのケースは順応してしまえる柔軟性を持っています。ですから必用以上に
設計を変える恐怖をあおる事が目的ではない事をお伝えしますね。
でもある人にとっては致命的な程に設計を変えて上手くいかずに結局設計を元に戻して再作成
なんて事もありうるので、そういった人にとっては知識もそして注意も必要です。
まずは設計の種類は覚えましたか?
一応過去ログからコピペしておきます。
①球面設計レンズ
②外面非球面レンズ
③内面非球面レンズ
④両面非球面レンズ
⑤軸補正付き両面非球面と内面非球面
今単焦点では内面非球面や両面非球面なんてチョイスをする方はうちのお店では
強度の方や、コアな眼鏡ファンが中心でグラシアスの販売実績では
①と②でおよそ8割占められています。
それなので、①と②の違いをもう少し詳しく説明しますよ。
まずレンズにおいてベースカーブが大切。こんな事、眼鏡学校では教わっても
一般の消費者が知る事はまず無いでしょう。
知る必要があるか?と聞かれれば僕は知って損はないと答えます。
何故ならお客様の見え方に直結した事柄だからです。
ではベースカーブが変わると違和感の原因かどうかはともかく、見え方が変わり、
それを感じ取れる方と、え?何が変わったの?と感じられない方がいて、
その効果は度数の強さに比例して分かりやすくなります。つまり、度が弱い人には
その効果を体感出来ない可能性が高いという事が言えます。
にも関わらず、過去の眼鏡業界はその非球面設計という新ネタに飛びつき、
時にはどんな弱度でも
「こちらの方が良いレンズですよ。」
と販売してきた経緯があります。ですが何度も繰り返しますが、設計を変えても必ずしもその効果を
プラスに感じるとは限らないところに難しさがあります。
では多くのケースでは非球面と球面設計ではベースカーブが変わるという実例を
お店にあるカーブ計を使って写真を撮りましたので実例をご紹介しますね。
まずは球面設計⇒の部分をみてください。ほぼ3.2を指し示していますね。
これが非球面レンズになるとどうなるのでしょう?
⇒のところを見ると2.2カーブ程度、約1カーブ差がありますね。
このレンズのメーカー名は伏せますが、1.60という高屈折レンズの度数はS-2.50という度数における
ベースカーブになります。ここで疑問が生じて欲しいのですが?
「え!?球面設計は全ての度数で3カーブで非球面設計は全ての度数で2カーブって訳じゃないの?」
と疑問を感じて欲しいのですが、答えを言えば違うのです。各度数毎に各メーカーの設計者が
最適と思えるベースカーブを選択しています。ただしここで言える事は最適なベースカーブは
目的距離別に存在するという事実です。
ですから僕は近用眼鏡と遠用眼鏡でベースカーブを変えて発注しているのですよ。と以前の記事でさらっと
お伝えしました。それはこの目的距離を明確にした方がより良い視界を提供できる事になるからです。
では球面と非球面とベースカーブが違う事は理解出来ましたか?
でももう一つ球面と非球面の差異を僕は伝えました。
球面は=カーブの曲率が一定である事。
非球面は=カーブの曲率を変えているとお伝えしました。
では先ほどのレンズで端っこの部分のカーブを測定してみました。見てみましょう。
見て分かりますか?中心が2.2程度だったのに、周辺は2.5程度ありますね。
この曲率を変えている事とベースカーブの違いが視界に影響を与えているのです。
では明日はその見え方をもう少し具体的にイメージ出来そうな写真を交え解説していきます。
ではまた明日m(__)m
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