レンズのメーカーも覚えておく意味。
2017/05/28
先日のマンチェスターでのテロはどうやら組織的な犯行だったようです。
その後何人もの逮捕者が出ていますね。僕は前から思いますが、ボタン一つで、
たった一つの爆弾で何人も殺戮している欧州各国の空爆はテロとの戦いと称し
正当化し、そして今回の様な敵対国による無差別殺人を非人道的だと分けて
考えることそのものにダブルスタンダードを感じますし、人が人を殺すことの
残虐性なんて、差がある筈がなくて、どちらも無慈悲な戦争行為だと思います。
いずれにしても、そのテロの影響で、EXILEさんのロンドン/パリ公演は中止になり、
まさに僕らの暮らしの根幹、いや土台を揺るがすテロの脅威に全世界がおおわれている事に
なりました。僕も今秋のパリ出張をどうしようか、思案している最中です。
土台と言えば、レンズの土台ともいうべき、大事な要素にベースカーブという要素、概念があります。
このベースカーブを変える事で、像倍率も変えて、更に目的距離によっては収差の発生量も
変動するという非常に大きな影響を見え心地に与えます。以前に違和感のメカニズムという記事で
解説した気がしますが、昨日僕は設計や屈折率だけでなく、メーカーも覚えておいてね。
とお伝えしました。それは例えば同じ屈折率/設計だとしても違うベースカーブが存在するという事で、
それによって先ほど述べたようにお客様の見え心地に直結しているという話が今日の主題になるのです。
ではベースカーブを変えると何が違うのか?の前に、メーカーを変えるとA社とB社ではベースカーブが
変化し見え心地に影響を与えるという事を言いたいのですが、
例えば、
A社では
S-2.00 の近視で球面設計で 3カーブというベースカーブだとします。
ところが、
B社では同じ度数でも
S-2.00 で4カーブという差異があるのです。
ではこのカーブの変化にはどんな効果があるのでしょう?
大きく分けて二つの効果があります。
①以前に使っていた眼鏡に比して、カーブを変えた場合には違和感の原因となる。
②カーブを変えた場合には目的距離によって、収差の出方が変化する為、
得意とする距離が変わる。
①は何となく分かりますよね?同じ度数だけど、何か違和感あるな~。なんて時は
このカーブの変化である可能性があります。ですから、メーカーを変える事は
極力避けた方が良いという僕の話に繋がるのです。
では②は何を言っているのでしょう?
すんごく簡単に言えば、レンズにカーブはある程度必用です。ですが、度が強くなった時に
カーブを強くしてしまうと、周辺の視界に歪みが強く出てしまう事があります。
ですから、少しカーブを浅くするという選択肢が生まれるのです。
でも弱度でも、収差が発生してしまうことがあるのです。
③S-2.00 両目で1.5 (用途は常用で、運転を頻繁にする。)
④S-1.00 両目で0.8 (用途はPC用で、毎日、8hPCとにらめっこする。)
この③と④でベースカーブを変えると光学的には性能が上がる事があります。
答えを先に言えば、
③であればベースカーブを少し強めにします。3カーブか4カーブかで
迷えば4をチョイスした方が収差が減ります。
では
④でも同じカーブにした方が違和感が少なく光学的にもお勧めのカーブなのでしょうか?
僕は、それは違うよと今日言いたかったのです。
例えば、
④のケースで2か3カーブかで迷えば、目的距離が50㎝先のモニターだとするのなら、
余計な収差が出ないベースカーブは2カーブになります。
これを計算してグラシアスでは、レンズの設計をしています。
ここが難しいですね。慣らしという観点から、③と同様に4カーブを選択する
事もあるのですが、純粋に収差を少なく、そして綺麗に対象物を見たいと
思えば、近場の場合にはカーブを浅く(フラットに近づける。)した方が見やすい事が多いのです。
一時期、非球面レンズの出始めの時にはフラットなレンズの方が薄く仕上がり、
光学的にも性能が良い、これが業界の常識的な考え方でしたが、
薄くは仕上がっても、光学的にどうか?と別の問題が平らなレンズにはあるのだと
消費者の方々には知って頂きたいと思い今日の記事にしました。
眼鏡を掛けて快適に眼鏡ライフを楽しみたい。きっと眼鏡を使う誰もが思う事でしょう。
でも皆さんが考えている以上に、複雑なメカニズムが相互に作用して、結果としての
見え心地を作っているというお話しでした。
皆さんいかがでしたか?出来れば昨日の記事も復習でお読みになり、知識を深めてくださいね。
ではまた明日!
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