突然現れた上下斜位。
2018/10/19
今朝一番でいらしたお客様は7年振りにいらしたお客様で
7年間度数も変わらず、それ程不都合は感じていないと
当初仰っていました。
ところが、根掘り葉掘り色々聞いてみると、
お客様の不具合やお困りの事が浮き彫りになり見えてきました。
実際に聞いてみるとこんな事でお困りでした。
①遠くが良く見えない。
②何しろ目が疲れる。
そこで早速検査をしてみます。
すると遠くの視力は
裸眼で両目=0.5
今までの眼鏡で両目=1.5
と充分じゃない?という程に視力が出ていました。
早速検査してみると、充分と思われた視力も
現状に合わせると2.0、両目で見えるようになっていました。
ところがここで問題が生じています。
お客様の主訴は遠くが良く見えない。でも僕に言わせれば
60代中盤であることを考慮すれば1.5という視力は
充分だと考えがちです。ところが、比較の対象はきっと
お若い頃のご自分なのでしょう。
昔はもっと見えたのに、今は見えないとご不満を感じていました。
では2.0でる今の度数で眼鏡を作りかえれば良いのでしょうか?
それでは主訴の①はクリアーしても主訴の②はクリアーしません。
このお方は一日の4~5h程PC画面とにらめっこするお仕事なのです。
つまり遠くバッチリの度数で目的距離の4~50㎝を見ようとすると
ご自身の力では見えないのです。そしてそれを老眼と言います。
そこで僕は何をしたのでしょう?
「お客様、ご相談です。遠くを見たいというご要望には
お応え出来ます。ですが、それではPC作業を快適にという
ご要望には答えられません。いかがいたしますか?」
と二つの選択肢を提示し選んでくださいとお願いしたのです。
迷ったすえに結局今回は、①の主訴は諦め、近くを快適で
眼が疲れにくいという眼鏡にさせて頂きました。
レンズはHOYAの中近両用レンズの最高峰、MSIクリアークで、
フレームはコンセプトYです。
機能性の究極のような組み合わせですね。
きっと軽くて見え心地の良いものを、
そんなご要望だったのでしょう。
では中近とコンセプトYの組み合わせでいけば
お客様のご要望=疲れない眼鏡になれるのでしょうか?
いえいえ、もうひと手間必要でした。
それは7年前には存在しなかった上下斜位が発生していたからです。
それも大きなずれとして、そこで僕は設問を少し変えて
主訴の炙り出ししていきます。
「以前は無かった大きな目線のずれが見つかりました。
この7年間で頭をぶつけたりしましたか?」
と質問すると
「ぶつけてはいませんが、4年前に脳梗塞を患いました。」
とお答えいただきました。
この目線の上下のずれ全てが脳に起因するものでは当然ないのですが、
真っ先に疑うべきはそこ(脳)だと言えます。
それ以外にも眼鏡屋の立場でも考えられる原因を列挙してみますね。
①何かしらの脳の疾患(真っ先に脳神経外科にご案内。)
②歯や噛み合わせの治療(抜歯等による)
③咀嚼癖の左右の偏り(噛み癖改善の提案)
④骨格の乱れによる姿勢の乱れ(整体や普段の意識で乱れを整える提案)
⑤眼内レンズの術後(これは眼鏡で矯正かな~)
っとこんな感じ。上下に目線がずれるって、辛いんです。
このblogをお読みの方や、何かのご縁でこのblogにたどり着いた方も
対象物が水平にずれるのか垂直にずれるのか、若しくは両方なのか?
それらもセルフチェックして頂いてから、ご相談にいらした方が良いと思います。
少なくとも水平のずれなんてものは、大なり小なり誰にでも存在しますが、
上下でかつ大きくずれるなんてのはレアケースといって差し支えないのです。
ですから上下にずれている方は是非、お近くの眼科や眼鏡店に
ご相談に行ってみてくださいね。
このお客様は以前もこのコンセプトYをお使いでした。
実はこのブランドはリピート率が物凄く高いのも大きな特徴ですね。
スーツを仕立てる様にセミオーダー出来るフレーム。
名前の通り本当に素晴らしいコンセプトのフレームブランドだと思います。
眼鏡ってフレームだけでも、そしてレンズだけでも、更に言えば
検査をしっかりしていればOkな訳でも決してなくて、
全ての要素を高い水準で満たすことが必要で、
それが極める難しさにもつながっています。
非常に広範な知識と技術を求められる職種なのです。
おらもっと頑張るべ!
それではまたこのblogでお会いしましょう。
opteria Glassias
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