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眼石祝応のBLOG

老眼バレ-2

2018/11/15

今日は朝から日本眼鏡技術者協会でセミナーを受講してきました。

内容は分かりやすく言いにくいのですが、遠近両用レンズに活かすノウハウの

お話です。まだレンズメーカーが今では当たり前になっている

ツールの開発30年も前から続けてこられた先生で、

 

僕がblogで遠近両用レンズについて能書きをたれている時に、

受けた講義が遠近両用レンズについてだったので、

何かこういうシンクロって嬉しくなりました♪

 

それでは前回の復習です。

 

復習

 

僕は前回の記事で遠近両用レンズに対する間違った常識として三点挙げました。

 

①遠近両用レンズは怖くて使えない。

②遠近両用レンズを使うと早く老眼が進むから出来るだけ我慢した方が良い。

③遠近両用レンズを使うとレンズの下に窓みたいな別のレンズがついている

から、遠近両用レンズを使うとすぐに老眼とばれて嫌だ。

 

そして

 

遠近両用レンズは怖くて使えない

について要因を五つに細分化しました。

 

要因①~設計が古く歪みが強いタイプの遠近両用レンズはどちらかと言えば怖い。

設計が新しく歪みが弱いタイプの遠近両用レンズはどちらかと言えば快適。

 

要因②~加入度や度数の設定で歪みの量をコントロールできる事実。

 

要因③~アイポイントの測定精度を高めて、狙った位置に狙った

設計上のポイント合わせる。

 

要因④~フィッティング精度を高めて安定的に要因③で合わせた位置から

対象物を見させる。

 

要因⑤~レンズの加工精度を高めて、レンズに歪みを入れないように

手間暇かけて加工する。

 

要因①については前回の記事を

ご参照ください。今日は要因②、

 

加入度や度数の設定で歪みの量をコントロールできる事実。

 

という事です。

 

皆さんは当然歪みは少なく、出来れば裸眼と変わらぬ視界で

遠くも近くも見たい。それが多くの皆様のニーズであることは

間違いなく、そしてそれに近づけようとレンズメーカーも

そして僕ら眼鏡を仕立てる小売店も日々努力している事は

これもまた間違いのない事です。

 

ですが、遠近両用レンズの普及率が日本は著しく低いそうです。

 

それは正しい知識が世間に広まっておらず、逆に風評被害とも言える程に

過去の負の遺産によるマイナス効果で、

 

「遠近両用レンズなんて怖くて掛けられないわよ~。」

 

という遠近両用レンズ黎明期に痛い思いをしてた先輩方が、

こんなに怖かったと、自分の娘に話、そしてその話に尾ひれがついて

更に怖いレンズ、おどろおどろしいレンズなんて定評が広まっていたりします。

 

僕は今回のこの特集記事で遠近はやり方次第で怖くできたり、

怖くない状態で快適に使えたり、それは自由にさじ加減が出来るのですよ、

とご案内しようと思っています。

 

では実際に怖くしようと思えば、

 

設計を極力古い物を使う、でも少しでも早くなれて快適にご使用

頂くのであれば、極力新しい設計の物を推奨します。

 

ここまでは良いですね?

 

それに加えて今日は加入度の調整という耳慣れない言葉を

皆様にお伝えしなくてはいけません。

 

先ずは「加入度」とは?

 

ここから解説致しますが、

 

遠くを見る時に度数がいる人も、要らない人も、それはそれぞれございます。

遠くを見る時に最高視力を得る為に度数が必要なケースは

 

遠視/近視/乱視

 

一部にプリズムだけ入れるなんてケースもありますが、

多くはこの三つのパターンに類別されるでしょう。

 

そして遠くを見るのに度数が不要な人の眼を

 

正視 と定義付け出来ます。

 

では加入度とは?

 

老眼であったり、ピントの調節の量が過度であったりする状況で

その主訴を改善する為に、遠く用と近く用と二つの度数が必要になる場合があります。

 

例えば、最近作った遠くが良く見える眼鏡は遠くは勿論楽だけど、

近くのPC作業を長時間すると疲れる。

 

そこで試しに昔の眼鏡を掛けると楽に感じる。

 

こうやって遠用と近用とを無意識に使い分けしている方が意外といらっしゃいます。

ではその度数を一本にまとめて、遠くを見る時には新しい眼鏡の度数で、

近くを見る時には以前の弱い眼鏡で、その掛け変えがなくなる、若しくは頻度が減るような

眼鏡ってないかな~?というご要望に応えたのが遠近両用レンズです。

 

そして遠くの度数と近くの度数の差を加入度と言います。

 

そして眼鏡屋さんは誰でも知っているけど、世間の多くの方は

ご存知ない知識としてこの加入度の調整の効果と必要性を今日は

ご説明しているのです。

 

一般的に加入度を上げる=遠くと近くの度数差が広がり、

 

加入度を下げる=遠くと近くの度数差が狭まります。

 

そして

 

加入度を上げると=視野が狭くなり、歪みが強くなります。

 

加入度を下げると=視野が広がり、歪みが減少します。

 

それを図にしたのが以下の図です。(東海光学 新レンズ レゾナスXカタログより転載。)

 

収差図

 

左がレゾナスR,今グラシアスでは主力であり、

ベーシックグレードとして販売されているレンズです。

右がレゾナスX(テン)という新商品です。

 

左の図と右の図を比較すると左の方が赤い部分が多いですね。

右は色が薄くなり、赤い部分の面積も減っています。

 

この様に色が濃くなればなるほどに歪みは増し、

くらくら感じたりする装用感に悪戯したり、

実際にレンズを通して視界の端に行けば行くほどに視力も低下します。

 

この赤い部分は収差の谷と僕らは言いますが、

 

谷が浅くなる=歪みが減り、視力低下の度合いも改善する。

 

谷の面積が少なくなる=装用感が改善し、視野が広くなる。

 

こんな効果があるのです。

 

では

 

設計は最高にした、でもクラクラして慣れない。

 

そこで出番が出てくるのは加入度の調整なのです。

 

では実際にはどうやってこの加入度を減らして

歪みを減らすのでしょう?

 

それは遠くや近くの度数を調整して加入度を減らします。

 

実際の現場では、

 

例えば一番強い遠くの度数で 矯正視力が1.5でていたとします。

 

そして遠くも近くも見たいというご要望に応えようと、

近くの加入度は+2.00で提案したとします。

 

すると

 

「遠くも近くも良く見える。でも歩くと途端にフラフラして、端の方は

歪んで見える。なんとかならんか?」

 

こんなご要望は日常茶飯事、きっと多くの方がこの道を通って来られていると

思います。そんな時僕はこう言います。

 

「遠くか、近く、どちらか妥協出来ませんか?」

 

とおききします。

 

「本当に遠用視力は1.5必用なのですか?」

 

と訊くと

 

お客様のなかには「最近運転もしなくなったし、年々PCの仕事量は

増えていく。そうだな~。そんなに強くしなくても良いかもしれないな。」

 

と思い返す方もいらっしゃいます。

 

例えば

 

右眼も左眼も

 

S-1.00の近視で矯正視力は1.5だったとします。

 

先ほどの事例では+2.00でしたから、

 

S-1.00+(+2.00)=S+1.00ですね・。

 

では

 

遠くの度数を

 

S-0.50 に設定を変えて、その時の矯正視力が1.0だとしましょう。

 

この場合に、近くの度数は+1.00が必用なのですから、

 

S-0.50+(+1.50)=+1.00

 

この様に加入度を+1.50に下げても

近用の度数は変わりません。つまりお手元は快適なのです。

 

同様にタクシーの運転手さんは遠くの1.5は妥協できないとすれば、

 

S-1.00+(+1.50)=+0.50

 

の様になり、手元は弱いけど、遠くの視界は快適。

と度数を変化させることもできるのです。

 

この様に同じ設計の遠近両用レンズでも

 

遠く重視とか、近く重視のようにキャラクター分けが出来る事が見て取れます。

 

実際の発注単位は 0.25 単位なので、別に0.50と設定せずとも

もっと細かい仕様設定ができるのですから、この加入度の調整は僕らにとっては

当たり前ですが、意外と皆さんご存知ないお話だと思います。

 

良い設計にしてもダメだった。そんな経験をお持ちの方も

次にはこの加入度の調整という手法を試してみるのも一つの手だと思いますし、

諦めるのはまだ早いと僕は思います。

 

では皆さん、次も濃い~内容で解説していきますので

頑張ってついて来てくださいね。

 

それではまたこのblogでお会いしましょう。

 

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