近視の過矯正は何が悪い?

来店ご予約

眼石祝応のBLOG

近視の過矯正は何が悪い?

2021/02/14

本日のblogの難易度【★★★★★】

今朝の体重は、75.4キロ。

今朝のYouTubeチャンネル登録者数は496人。

告知:2/22 9時~9時30(僕の出番は5分程)

   TOKYO MX  HISTORY(パーソナリティは藤井サチさん)

   に出演致します。僕のこれからの夢や僕自身の紹介を

   僭越ながら、させて頂きました。是非是非ご視聴くださいませ。

 

さて今日ご紹介する事例は、

25歳という御年齢で近視の過矯正の眼鏡を掛けていらした方のお話です。

先ずは今掛けている眼鏡の視力を測定してみました。

旧度 R -4.51 -0.02 0   31.00 0.70 1.20
L -3.29 -0.02 0   32.00 1.20

右目が少し視力が出ていませんが、左はしっかり視力が出ています。

レフケラという機械の数値と裸眼視力はこんな感じ。

他覚 R -5.75 -0.25 23   31.50 0.05 0.10
L -3.75 -0.75 21   31.50 0.10
角膜乱視 R   -0.75 9 色覚特性 8  9  
L -1.25 19 5  2

 これだけ見ると問題が無い様に見えます。ところが精密に検査してみると

近視と乱視の量はこんな感じに測定されました。

両眼解放 R -5.00       63.0 2.0 1.5
L -2.50 -0.75 20   2.0

これを今までの眼鏡ともう一度比較してみます。

旧度 R -4.51 -0.02 0   31.00 0.70 1.20
L -3.29 -0.02 0   32.00 1.20

右目は良いですね。

左目は過矯正ですね~。-3.25と-2.50は三段階、-0.75分も過矯正です。

これはよろしく無いです。ご本人はそれ程、眼の疲労も違和感も訴えていませんが、

少なくともちょっと勉強した眼鏡屋さんなら、これは何とかしないと、

っと思える度数の差です。

 

ではそもそも論として、近視の過矯正って何が悪いのでしょう?

また、近視の過矯正だと分かっていながら、近視を敢えて過矯正にする

意図や方法はあるのでしょうか?実はこれがあります。

 

先ずは過矯正の害悪からご説明しますね。

近視を過矯正している、しかも片目だけ過矯正をしてしまうと、

先ずは視力が狙った通りに出なくなります。

 

先ずは近視の過矯正下では、人為的にというか、無理やり、遠視状態になると

思って下さい。網膜の後ろで焦点を結ぶのです。

この網膜の後ろに行ってしまうと、焦点が後ろにいけばいく程に、

視力は低下します。ただし、まだピントの調節をする力が残っている若年層は、

多少の過矯正による遠視状態は無意識に自分の力で調節します。

 

この時に厄介なのが、実は過矯正ではない、

右目にもピントの調節が入ってしまうのです。

今回は片目を隠して視力測定しても、その右目も左目に引きずられるかのような、

ピントの調節が残ってしまい、本来はもっと視力が出てもおかしくないのに、

0.7しか視力が出ていませんでした。

これは予想される想定値になりますが、

完全矯正値の視力=2.0

であれば、

旧度のメガネの一段下げた状態の視力の想定値は

1.5 です。

それが

0.7しか出ていないのです。

 

つまり両眼視力にも悪影響を与えますし、

強い眼鏡を掛けているのに、最高視力(この場合は2.0)の

視力が出ない原因になっているのです。更に言えば、

こういった両眼のバランスが取れていない状態では

勿論、両眼視機能にも悪影響を与えるのは言わずもがなです。

 

つまり今回の片目だけ過矯正眼鏡は、

疲れるし、視力も出にくい、

ただの使い勝手の悪いメガネになっています。

よくある間違った常識は、

 

近視を強くすればする程に視力が改善向上するという思い込みですが、

実際には近視のずれをしっかり矯正した状態以降は視力は改善せず、

ある一定の過矯正量から今度は視力は低下する。

 

これが正しい知識になりますから、

よく見たいからとにかく強くという考え方は

どうかあらためて頂きたいなと切望致します。

 

では敢えて過矯正にする眼鏡ってどんな時にするのでしょう?

それは斜位や寄り眼が苦手な目の状態がある方で、

過矯正にしてピントの調節を入れさせると眼位が安定する場合です。

 

ただし普段からピントの調節を強いるメガネは

眼の位置は安定したとしても、

当たり前ですが、ピントの調節の余力を奪います。

ですからピントの調節に問題が無い若年層にしか

原則やらない手法だと理解してください。

 

例えば握力が30キロの人がいます。この方が握力計をゼロから

握れば当然針は30キロを指し示します。ではあらかじめ10キロの

位置に来るように力を入れておいてくださいと握力計を握って頂きます。

そして瞬時に全力で握って下さいと言われれば握力計は30キロまで

一気に針はふれると思います。

 

ところが、この10キロの状態を1時間維持してくださいと伝え

1時間後にぐっと力を入れてみてくださいと言った時に、

握力計は30キロを指せるでしょうか?させるかもしれません。

ですが多くの方は、30キロに満たない状態にまでしか持っていけません。

 

この出来る人と出来ない人の差は何でしょう?

 

それは体力の差と疲労の蓄積です。

 

つまり、普段から力を入れて見させる癖は

トレーニングにはなるかもしれませんが、

眼を疲弊させて本来のパフォーマンスを維持出来なくなるのです。

 

僕はこれを嫌うので、敢えて眼位を安定させる為に

マイナスレンズの過矯正を狙う事は、

少なくとも過去にはした事がありません。

 

ましてや今回のケースの眼位は多少の外斜位で、

プリズムを入れてお作りしましたが、

別に眼位が不安定だった訳でもありません。

 

ここでまとめましょう。過矯正だから=ダメだと結論付けるのは

短絡的だと僕も思いますが、一方、敢えて近視の過矯正を狙う場合には

かなりのリスクがある方法だと僕ら眼鏡人は理解し、

慎重に矯正方法を選ぶべきでしょう。

 

またこれは良くない例外中の例外ですが、

左右の度数差そのものを問題視して、

左目を右目に近づけて過矯正に処方する場合があります。

 

これも、僕はやりませんが、見解の相違だと言えます。

この度数差そのものは僕は問題視しない方が上手く行く場合があるよ、

っとblog上では訴えています。度数差が問題ではなく、

度数差により発生する像倍率の差が両眼視を阻害するケースがあるので、

そのサイズ差を問題視するべきだと言っています。

 

これをもう少し専門的に言えば、

不同視を問題視せず、

不等像視を問題視せよ。

 

という言い方になります。

では今回は像倍率に問題があったのでしょうか?

これも無しです。つまり眼位に問題もなく、

サイズにも問題が無いのに、

 

左目を近視の過矯正をしてしまっているとしたら、

このメガネを掛けている人は、

余計なおもりを背負わされて生きる事になるのです。

 

また、もっとレベルの低い話だと、

レフケラという機械の数値を信じて、

それから少し弱くしておけば良いや、

なんて眼鏡屋さんもいますから、

 

そういった意味では、眼鏡やメガネ屋を選ぶ時には

どうか、価格だけで選ばず、慎重に時間と手間をかけて

仕立ててくれる眼鏡屋さんを選んで欲しいし、

 

そういった志の高い眼鏡屋さんと

ご縁がある事をお祈り致します。

 

僕の知る限り業界全体のお店を網羅して

紹介しているポータルサイトはありませんが、

下の四つのポータルサイトはそれぞれ頑張っていますので、

ご興味ある方はどうぞ覗いてみてください。

 

『↓眼鏡屋さん選びに困ったらこちらへ↓』
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

【MORE~快適眼鏡研究会~】
https://more-kaitekimegane.jimdofree.com/

【眼鏡名店街】
https://megane-meitengai.com/

【ミルモ】
https://www.milumo.jp/front/miru_index

【めがなび】
https://www.meganavi.info/

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

それではまたこのblogでお会いしましょう。

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。