調節の介入を外す事が、メガネの視力測定の歴史

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眼石祝応のBLOG

調節の介入を外す事が、メガネの視力測定の歴史

2021/03/20

本日のblogの難易度【★★★★】

今朝の体重は75.1キロ

今朝のYouTubeチャンネル登録者数は532人。

 

体重は異常値から戻りました。

そしてチャンネル登録者数は微増。

良い始まりです。

 

さて昨日いらした方は、僕も記憶に無い程の異常値を示すレアケースなお方でした。

それは22歳の学生さんで

 

近視が強めに出すぎる程に出てしまうお方だったのです。

 

先ずは機械で簡易に測定した度数は以下の通りです。

他覚 R -11.25 -0.75 2   30.00 0.04 0.04
L -9.25 -2.25 12   30.00 0.03
角膜乱視 R   -1.25 179 色覚特性 8  9  
L -2.50 11 5  2

見ての通り、かなり度が強いのです。ではこんなお方がどんな眼鏡を使っているのでしょう?

旧度 R -7.27 -0.03 0   29.50 0.60 0.90
L -5.76 -1.22 9   29.50 0.60

ここで僕は「え!?」っと疑問符がつきまくります。

こんなに視力が出る筈無いのにな~、っと0.9の矯正視力を不思議に思っていて、

 若しも、機械で測定した度数が正しければ矯正視力は0.1も出ないと予想したのです。

実際に片眼遮蔽屈折検査(一般的な測定法)で測定した度数は以下の通りです。

片眼遮蔽 R -9.50     +1.25(40)   1.00 1.0
L -7.75     +1.25(40)   1.00

では、両眼視機能検査、更に両眼開放屈折検査で測定してみるとどんな度数になるのでしょう?

両眼解放 R -6.75 -0.75 175   60.0 1.0 1.0
L -5.25 -2.25 11   1.0

なんと、度が多少進んだのかと思ったのが第一感、

ところが近視は進んだどころか、今の眼鏡は過矯正だった事が分かりました。

結局これに上下左右の目線のずれを プリズムで矯正して仕上がりました。

 

グラシアスでは両眼視機能検査、更に両眼開放屈折検査を全てのお客様にサービスしていますし、

それに加えて僕のスパイスも少々、まとめてRTM式眼鏡調整法という

新しいメガネの仕立て方を提案しています。

 

一方、眼鏡の度数を決定する視力測定法に関しては、

眼鏡士の数だけ、微妙なさじ加減の差もあれば

アメリカ式やドイツ式等の流派が変われば

まるで違った方法で視力測定する場合もあります。

 

ですが、今回のようなケースを見ると

しっかりと多角的に被検者の眼を見るという事の大切さが

炙り出されます。さらっとやった検査では

冒頭のすんごい強い度数より、少し弱めにしておこうなんて、

めちゃくちゃ過矯正なメガネで作られたりすることもあるのだと、

皆様、一般ユーザーに知って頂きたいと思い、今日の記事にしました。

 

近視の過矯正の多くは若年層に生じます。

それはピントの調節という要素が介入して、

近視を実態よりも強度化されて測定されてしまうと理解してください。

 

因みに、そのピントの調節能力が加齢に伴い低下し、

手元の細かい物が見えなくなる事を老眼と言います。

老眼下であれば、調節の介入の影響も軽微だと言えます。

 

今回のケースで若しもすんごい強い度数で作ったとしたら?

必要以上にピントの調節を眼鏡は求めますから、

手元を見る為に、過度な調節運動を惹き起こします。

 

これが眼精疲労の原因となり得ますし、

場合によっては、それが更なる近視進行の要因となりうると僕は思います。

 

ですから近視の度数を適正に測定する事は本当に大切です。

ところが世間では、若いころは、どうせすぐに近視は進行するから、

高いメガネは必要無いとファーストフードの様な眼鏡屋さんで

メガネを作ります。それがどういう結果をもたらすかは

皆さんのご想像の通りです。

 

僕に言わせれば近視大国日本、近年の近視の弱年齢化は、

ファーストフードの様なメガネ屋さんで国民の多く(8割)が

仕立てていることと、PCとスマフォの普及と複合的な要因がシナジーを起こして、

近視の目を大量生産していると思っています。

 

誤=どうせ近視は若い頃は進むから安い眼鏡で良い。

 

正=若い頃程、近視の正確な測定が難しいので、手間暇掛けて眼鏡を仕立てるべき。

 

とどうか皆様の知識をアップデートして頂きたいと切に願います。

僕らは正確な度数測定を競っていますし、

それはピントの調節の介入を外す為の

試行錯誤の歴史の積み重ねとも言えるのです。

 

それではまたこのblogでお会いしましょう。

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