18歳の男の子、でも寄り眼が苦手

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眼石祝応のBLOG

18歳の男の子、でも寄り眼が苦手

2021/10/01

本日のblogの難易度【★★★★★】

今朝の体重は76.8キロ。

今朝のYouTubeチャンネル登録者数737人。

 

昨晩いらした男の子、もう男の子というのも失礼かもしれませんね。

18歳で来春晴れて大学生だそうです。

 

強度の近視ですが、いつも眼鏡を作る時に0.8程度に調整していて、

あまり強い度数に調整された眼鏡は掛けた事がないと仰っていました。

早速レフケラ測定値と以前お使いの眼鏡と裸眼の視力をチェックしてみました。

屈折   SPH CYL AX ADD PD 片眼視力 両眼視力
他覚 R -7.00 -0.75 138   32.00 0.03 0.10
L -7.25 -0.75 11   32.00 0.04
角膜乱視 R   -0.50 143 色覚特性 8  9  
L -0.75 7 5  2
旧度 R -5.98 -0.01 0   30.50 0.30 0.60
L -6.27 -0.02 0   30.50 0.50

一目近視が進行したから、矯正視力が0.6に低下したのかな?

っと思われるかもしれませんが、僕の直感は、先ず乱視、

乱視の未矯正が、最初に着手すべきケースだなと感じました。

実際に乱視を矯正すると視力は普通に矯正される事例でした。

一応両眼解放下での屈折異常量と完全矯正値での矯正視力もご紹介します。

両眼解放 R -6.75 -0.50 135   64.0 1.5 1.5
L -7.00 -0.75 10   1.5

少しだけ気になるのは片目で、1.5で両眼で期待値としては2.0を予想しましたが、

片目で見ても、両眼で見ても視力が大差ないのは、物足りなさを覚えます。

ここはセオリーでお話しますが、セオリー通りなら、

 

片眼視力×1.2=両眼視力

 

になるのが平均値と言えます。中には1.3とか1.4倍なんて方も

いらっしゃいますが、多くのケースで片目で見るよりも

両目で見た方が遠くが良く見えると思って下さい。

 

このblogをご覧になっているあなたも、

せっかくですから、片目の視力と両眼視力がどのように

変化しているかをチェックしてみてください。

 

①両眼視力が上がる:健全な状態

②変わらない:何かしら両眼視を阻害する要因がある可能性あり

③両眼視力が下がる:両眼視はしているが片目の視力が低下していて、

それが足を引っ張っているケース

 

この様に大別すれば三つに分類されます。

今回は②のケースだったので、少し心配したのです。

では、18歳の育ち盛りの男の子の眼に何が生じていたのでしょう?

 

今回の鍵は、

 

輻輳テストと固視ずれ

 

輻輳テストとは寄り眼でどこまで近づけるかな?というテスト、

固視ずれとは、両眼視はしているのですが、中心窩という網膜のある地点に

焦点がフォーカスしていない時に、視力や、明度、解像度、

そして両眼視機能に悪影響を与える事象です。

 

ここで良く勘違いされるのは、固視ずれって斜視の事で、

物がダブって見えるのですか?と質問される事があります。

 

原則固視ずれは斜視の様にダブって見える要因とはなり得ません。

何故焦点が狙った場所に当たらなくてもダブって見えないのでしょう?

それは人は、物を点で見ているのではなくエリアで見ているからです。

 

そしてそのエリアをパーナムエリア(パーヌムエリア)といいます。

人は有る範囲の中に焦点が収まっていれば、両眼単一視は出来るのです。

両眼単一視とは、両目で捉えた画像を一つに重ね合わせてみている状態です。

 

今回は、

 

輻輳テストと固視ずれがポイントだと説明しましたが、

 

固視ずれの要因の多くは斜位に起因します。

勿論今回も斜位がありましたが、

 

斜位量は0~7△(プリズム)程度の外斜位※で、

斜位量そのものは平均値より突出して多い訳ではありません。

 

※グラシアスでは複数の斜位測定法で多角的に測定しているので、

検査結果に幅が出ます。

 

それよりは18歳になのに9㎝程度で非利き目の左目から

外にすっと逃げている状況が問題だと感じました。

こういうケースでは固視ずれ量も左の方が多いと予想します。

 

結論としては、

プリズムで固視ずれ矯正をした上で、

左目をもう少し積極的に使える方向に調整させて頂きました。

 

この様に斜位ばかりが、固視ずれ原因ではなく、輻輳テストによって

炙り出された輻輳余力の大小が、大きく目の機能を損ねる場合もあるよ。

とご案内したいと思う、興味深い事例でした。

 

それではまたこのblogでお会いしましょう。

 

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