乱視の弱矯正が悪戯する
2022/01/08
本日のblogの難易度【★★★★★】
今朝の体重は78.0キロ。
今朝のYouTubeチャンネル登録者数は860人。
さて昨日いらした30代の女性は、
遠視と強めの乱視を両目ともに併せ持つ屈折異常を有していました。
さぞやお辛いだろうとお話を進めましたが、
主訴としては
①遠くが見え難い
②読書が好きだが今は疲れるので読まない
③慢性的な頭痛
④肩こり
⑤めまい
⑥耳鳴り
⑦ぎっくり腰を四回
⑧胃が弱くストレスですぐに胃に穴があく
とかなりストレスフルな感じ。
また、ご自身の言葉を借りても
ストレス耐性が低いと分析されていました。
では実際に度数を見てみましょう。
屈折 | SPH | CYL | AX | ADD | PD | 片眼視力 | 両眼視力 | |
他覚 | R | 0.75 | -2.75 | 172 | 28.00 | 0.30 | 0.40 | |
L | 1.75 | -3.75 | 13 | 28.00 | 0.15 | |||
R瞳孔径 | 6㍉ | 角膜乱視 | -3.25 | 172 | 夜間矯正視力 | BE0.9 | 夜間近視 | 追加加算 |
L瞳孔径 | 6㍉ | -4.50 | 9 | R0.6 | L0.6 | S-0.25加算 |
遠視と近視性の乱視を併せ持ち、これを混合乱視と言います。
焦点が二つあるのが、乱視状態ですが、
一つの焦点が遠視、
一つの焦点が近視だとこういった混合乱視と測定されます。
完全矯正値は以下の通りでした。
両眼解放 | R | 1.00 | -2.75 | 172 | 58.0 | 1.2 | 1.5 | |
L | 2.00 | -3.75 | 10 | 1.0 |
これを等価球面値と言いますが、ある計算を入れると
レンズのパワーが数値化されます。等価球面値は以下の通りです。
等価球面値 | R | -0.63 |
L | -0.13 |
この様に若干の近視と測定されます。
僕は一つ言い続けている事は、正視遠視系の人程、
両眼視という観点からは、ハイリスクだと感じています。
今回のケースもハイリスクだと言えます。
斜位はどちらにずれていたのでしょう?
眼位 | 測定 | 処方 | |
R | BI | 6~2~0~0~BO2 | 1 |
L | BO | 1 |
グラシアスでは米国式とドイツ式とハイブリッドにした上で、
更に独自の視力測定法も加えたRTM式眼鏡調整法という視力測定法を
提唱しています。複数の測定法で多角的に斜位量を考えるべきだというのが
そのハイブリッドにしている根拠です。
僕に言わせればこのお方は外斜位、
リラックスすると眼が外にずれると類別されます。
ご本人は内側にずれると気にされているようでしたが、
実際には外斜位でした。
では、このお方は内斜視、内斜位という感覚は
勘違いだったのでしょうか?
それはそんな事はなく、
今お使いの眼鏡が遠視の弱矯正で、
弱矯正メガネの弊害として
ピントの調節を常に使って物を見る癖がこびりつきます。
その調節運動が日常化すると、調節に伴い、
目は若干ですが内側に入るのです。
ですから今回の度数変更で
遠視は適正化されますから、
目は若干ですが外に開きます。
微力ながらですが、
多少の美観の改善も見られるでしょう。
今回はこれで終わりではなく、
実は遠視だけでなく乱視も弱矯正だったのです。
そのため、矯正視力も狙った視力が出ていませんでした。
ではどんな眼鏡を使っていたかもご案内しましょう。
旧度 | R | -0.01 | -2.23 | 169 | 32.50 | 0.70 | 0.90 | |
L | 1.24 | -3.00 | 18 | 29.50 | 0.90 |
この様に遠視乱視共に弱矯正でした。
この弱矯正であるが故に、
目が内側に入りやすくなり、
更にもう一つ弊害がありました。
それは手元のパソコン画面を見た時に生じました。
今回僕がお作りした眼鏡を掛けてパソコン画面を見させると
「なんか力を入れないとみられない。」
っと答えるのです。
この状態を共益と言いますが、
乱視が弱矯正の分だけ、その乱視の未矯正分、
ピントの調節をさせないように癖がついてしまっているのです。
そこで眼前に凸レンズをすっと入れると
「あ、見やすい。」
と答えます。これはピントの調節能力の問題ではなく、
癖だと僕は考えます。手抜きならぬ、目抜き(変な言葉ですね。)癖です。
それならば遠くの視力を考慮せず、もっと凸レンズ要素を加えたメガネで
パソコン画面を見させれば良いのでは?っと思われるかもしれません。
それも実は選択肢の一つでした。
それを提案する際に僕はこんな質問を投げかけました。
「お客様は夜間近視とも言うべきな、昼と夜の視力差が生じ、
更に度数も変化しています。つまり夜間近視を考慮して遠くを見えるようにする度数と
パソコン画面を考慮して遠くが特に夜は見え難くなる眼鏡とどっちが良いですか?」
っとお客様の意向を聞いてみたのですが、
お客様の答えは明らかでした。
「遠くを見たい。」
それ程に運転のニーズが高く、そして遠くが見えない事に
恐怖を感じやすい生活パターンだったのでしょう。
これも夜間近視と夜間視力を測定を始めたからこそ、
提案できる提案力だと思います。
皆様も夜間の運転がどうしても見え難いなんてお方は
是非夜間と昼間で度数を変えるなんてことも是非是非ご検討くださいませ。
それではまたこのblogでお会いしましょう。