光学中心をずらして作成。
2017/06/17
今日いらしたA様(仮称 40代 男性)は、検査を始めようとすると
「僕の眼はややこしいですよ。」
といきなり仰いました。
僕はどういうことですか?と話を聞いてみました。
するとこんな説明をしてくださいました。
「僕は、
右目を3mm内側に光学中心をずらし、
左目は7mm外側に光学中心をずらす。
こんな眼鏡じゃないと対象物が真正面にある筈のものが水平移動した場所にあるように
見えてしまうんです。」と仰っていました。
この様に光学中心をずらしてプリズムを入れるという方法は、単焦点レンズ、かつ
球面設計レンズ、この二つの条件を満たしている時には僕はOKとして、例えば、
多少のプリズムを入れたいなんて時には、実際にレイアウトをいじったりすることはあります。
ですが、今回ご使用頂いていたレンズは近々両用レンズだから、話がややこしくなります。
何がいけないかというと、それは近々に限らず累進レンズには良く見えるゾーン(明視域)と
見え心地が著しく落ちるゾーン(収差領域)と二つに分けられたゾーンがあるのですが、
A様のように、近々両用レンズでそれをやってしまうと明視域の端で対象を捉える事になります。
例え、それがモノを正確にとらえる為に必要だとしても、それは位置をずらすのではなく、
プリズムを入れてあげれば済む話なのです。
ではこのA様の今までお使いのレンズにはどんな度が入っていたのでしょう?
右目を3mmずらすと内斜位を矯正するのに用いられる事が多い、プリズムベースアウトが
0.75ディオプター(キロとか㎝みたいなレンズのパワーを表す単位です。)発生しました。
左目を7mmずらすと2.63ディオプターがプリズムベースインとして発生します。
これで左右を合算すると2.63-0.75=1.88のプリズムベースインが発生する事になります。
こういう処方は眼球震盪の際にはよく見られるのですが、今回はそうではありませんでした。
網膜の不一致対応という状態なのかな?とも疑いましたが、結局両目共にベースイン処方で
上手くいきました。う~ん、僕としても腑に落ちないというか、前の眼鏡士さんが見た時と
環境が変わっているのでしょうか?不思議な経験でした。
もっともっと勉強しなくちゃと思えたお店での一幕でした。
ではまた明日。
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